まどろみの中で感じた貴方の重み(柳生比呂士)



ふと肩に重みを感じて隣に座っている貴女の顔を覗き込んだ。

「だから来なくてもいいと言ったのに…」

本を読みに公園へ行くだけだとどんなに説明しても、
一緒に行くと言って聞かなかった彼女は案の定隣で寝てしまっていた。
はじめは木々の景色を眺めてそれなりに楽しそうにしていましたが…

「活発な貴女には動かない景色など退屈だったでしょうに…」

本に集中していて気遣ってあげられなかったことを申し訳なく感じると同時に、
肩にかかる重みがとても愛おしく感じた。
じっとしているなど耐えられないと言っていた貴女が何故此処に来たいと言ったのか…

「…そんなに一緒に居たかったのですか、百合さん?」

そう自惚れてしまいますよ?

「…ん…やぎゅ…」

「……」

彼女の前髪にそっと触れると、
くすぐったそうに身をよじってそう寝言を言った。

「まったく貴女って人は…」

…どうしてこうも私の心を揺さぶるのが上手いのでしょうか?
まさか自分がこんなにも人を愛おしく感じるなんて考えてもみませんでした…

「ふう…」

さして面白くなくなってしまった本を閉じて彼女を見れば、
まだ気持ち良さそうに私の肩で寝ていた。

「なんだか私まで眠くなってきました…」

安心して私の肩で寝てくれていることが嬉しくて、
彼女の頭に私も頭を預けて目を閉じる。

きっと、このような何でもない平和な時間を幸せと言うのでしょうね…。



*END*

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