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好きな人がいる。

綺麗な、ひと。




『くーらーまーくんっ』
『ぎゃっ』

所かまわず俺に抱きつく。
変な、ひと。


『やっぱこれ見ないと部活って感じしないなぁー』
『いや、それはどうだよ三国…』
『死ね倉間』
『南沢性格変わってね?』
『この事に関したらいつもだど』


淡々と言ってのける先輩達。

『倉間くぅん可愛いよぅ』
『すみませんスリ付くのやめて貰えますか』
『…そんなこと言うと、ボールに倉間君の顔描いて持ち歩くからねー?』
『どーぞ好きなだけスリスリしてくださいボールとかマジ勘弁してください』

そんな事したら南沢さんにソニックショット練習専用ボールにされかねない。
どんな嫌がらせだ俺の事本当は嫌いなんじゃないのか南沢双子は。


『倉間君?』
『何でも無いデス』

ぎゅ、と抱きつく手に力がこもる。
ちなみに抱きつかれているのに俺が会話出来るのは、先輩が後ろから抱きついてるからだ。
まぁ、それはほら。
改善?されたっつーか。
先輩後ろか横からにしてくださいって言ったらそうなった。案外簡単に、アッサリそうなった。
その分不意打ちが増えた気がするけど、「今から抱きつきます」と言われても微妙だからまぁそれはヨシとしとく。









 ‐‐‐‐‐‐‐‐



好きな人がいる。
可愛い子。


『先輩、』
『ん?』
『オツカレサマ』

部活終わり、ちょっと残ってデータ処理していたらジュース買ってくれたみたいで、少し照れくさそうにしながらそれを渡された。


『ありがとう』
『ドーイタシマシテ』

ぶっきらぼうに話すのは照れているとき。
前髪で顔が隠れててわかりにくいけど…最近雰囲気で分かるようになった。
ほら強いて言うならかわいい耳としっぽがパタパタしてる、みたいな?


『…先輩、今すげぇ失礼な事考えてただろ』
『え?何のこと?』
『顔ニヤケてる』
『…』

どうやら彼も同じらしい。
なんて言うか…嬉しい反面恥ずかしい、かも。


『う、嬉しかったんだもん』
『ソーデスカ』

あはは、と乾いた笑いをする倉間君。
なんか軽くあしらわれた感じがする。
少し前までは真っ赤になってたのに…面白くない。

『倉間君』
『何?』
『今、ちょっと抱きしめていい?』
『ぶっ!!』

ゲッホッゴホッ
ジュースを飲んでた倉間君は、すごい咽せた後タオルで口を覆い真っ赤になって私を見た。
あ、やっぱりこっちが可愛いな倉間君は。


『───先輩、』
『ん?』

近づく私の肩を押して制し、倉間君はそのまま私をベンチに座らせた。
訳が分からずなすがままになっていると、前からぎゅって抱きしめられる。
あれ、あれぇ?

『俺、』
『う、ん』
『抱きしめられるより抱きしめる方が好き』

あ、れ?
倉間君。なんでかな?
いつも通り可愛いのに。

いつの間にか、気づいたら。


『先輩?』
『え、あ、何?』
『顔、真っ赤…』
『っ、』
『可愛い』
『か、』


可愛い、って…倉間、君…。








好きな人が居ます。

いつの間にか、可愛い子から格好いい人になってました。






あぁ、


僕は



私は






君が大好きです。







南沢先輩と倉間くん






end






(*´∞`*)20111224!


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