君と僕とエトセトラ
((な、んですかその顔は…!))
『もしかしてさ、それが理由だったの?』
『え?』
『付き合ってるの隠してたの。"やだー名字さん中学生と付き合ってるの?ショタコンじゃーん"みたいな?』
『う、』
『…ごめん多分どう頑張っても僕の方が年上に見えるから安心しなよ?』
『く…っ』
なにその凄く気を使ってる感じ…。
いつもからかう癖にと毒づいた、忠君や他のメンバーと分かれた後の帰り道。
今日は一人じゃなくて何だかムズ痒い。
『名前の家行きたい』
『明日も朝練あるよ?』
『…なに、そんなに遅くまで居て欲しい訳?』
『…な、ち、違いますー』
私たちは家がお隣同士。
お互いの家が見えた所で蛍がそう言った。
見た所、月島家もウチもまだ電気は点いていないみたいだ。
同じ事を確認したらしい蛍は、いい?と小首を傾げる。
…私は昔からこれに弱い。
『…いいよ』
珍しく、彼が少し嬉しそうにした。
▼
『け、けい!』
『うん、』
『なに、いきなり…!』
『ちょっと黙ってくれる?』
玄関のドアを閉めるなり、蛍は膝を折って私と目線を合わせた。
何だろうと思うより先に抱きしめられて。
久しぶりの蛍の温もりに、心臓が早くなる。
『…』
『蛍…?』
『うん、』
『…寂しかった?』
『…』
『蛍、』
『…なに、』
『私は、凄く寂しかったよ…』
私も背中に腕を回して力を込める。
蛍の耳、ちょっと赤いね。
受験の間しばらく会わないと約束した私たちは、家が隣だと言うのに全く鉢合わせることも無く過ごした。
私も部活や生徒会で忙しかったけれど、同じように学校へ行って部活をして…サイクル的には変わらないのにね?へんなの。
何ヶ月も声だけだったからか、今触れあってるのが不思議な気分。
僕も…。
消えてしまいそうな声で蛍が呟いた。
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『名前…』
『えっちょっ!け、けい…!』
『…ありえない』
『なにがっ!』
『今完全にキスする流れだったよね?』
『き、きききす…!?』
『…えー…』
『な、んですかその顔は…!』
『……別に』
先は長そうだなと月島君は脱力しましたとさ。頑張れツッキー。
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