君と僕とエトセトラ


((ちょっと、あなた達…!?))









『あれ何』


蛍に言われて振り向けば、入り口に三つの影がありました。





『何してるんですか…』
『すみません名字さん』
『何かあったんで…』
『あーあれだ!眼鏡の人!』
『!!』
『背ぇ高いー』
『かっこいー!』
『ちょっと、あなた達…!?』
『え、三年生にあんな人居ましたっけ?』
『違いますよー!彼、一年生ですよー』
『えっ!一年!?』
『月島蛍君、一年四組ですー』
『ちょっ何調べてるんですか!?』
『部活名簿作ったの私なのでー』
『そうでした!』

どうやら会長の「眼鏡君」で合致したそうです。
三人はニヤニヤと私と蛍を交互に見て、お似合いですよと私にだけ聞こえるように言って逃げやがりました。
今度覚えてなさいよあなた達!


蛍は何時もの仏頂面で私を見もしませんでした。
くだらないとか思ってそうです。









『仲良いんだね』
『うん?』
『生徒会』
『えっ、あ、あぁ…』
『なに?』
『ごめん』

手を繋いでのいつもの帰り道。
名前はばつが悪そうに小さく謝った。

『何の謝罪?』
『えっ、いや…蛍、あーゆーの嫌でしょう?』
『別に』
『嘘だーずっと眉間に皺寄ってたもん』


人差し指で自分の眉間をさして苦笑いする名前。
見当違いも良いところだよね。


『同じクラスにさ、』
『うん?』
『可愛い子が居るんだよね』
『う、うん?』
『月島君、月島君って…休み時間に分からない問題聞きに来たりさ』
『へー』
『…女子なんだけど』
『うん』
『可愛い子でさ』
『うん、』
『名前はさ、』
『はい』
『バカなの?』
『何で!?』

いきなり何なの!と怒る名前に僕の頭もぐるぐるしてきて訳わかんない。
話聞いてた?って訊ねたら同じクラスのめちゃくちゃ可愛い子が休み時間毎に勉強聞きに来るんでしょう?聞いてましたよ先を言いなさいよと怒られた。
理不尽。


『嫌じゃないの?』
『何が?』
『僕が知らない子と仲良くしてて』
『え…?』

あ、やばい。
普通に言ってしまったけど、これじゃ暗に僕が嫉妬してますーって言ってるみたいじゃないか。
しまったと後悔したのもつかの間、名前は顔を真っ赤にした。
…え、何で名前が赤くなるの。


『名前…?』
『そうだよね、』
『え?』
『周りに可愛い子、沢山居るよね…』
『名前、』
『わ、私…蛍以外考えられないから蛍もそうだろうって勝手に思ってた…』
『えっそれ言っちゃうの?僕に?』
『えっ』
『…名前はバカなの?』
『う、う…!』

真っ赤になって泣きそうな名前は、どうしたら良いのか分からなさそうだったからとりあえず抱きしめておいた。

名前の一言で胸の中で渦巻いてたもやもやが無くなるんだから、僕も案外単純だな。




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『蛍、』
『何?』
『その可愛い子とは仲良しなんですか』
『あ、あれ嘘』
『は!?』
『それに僕が可愛いって思うのは一人しか居ないから安心しなよ』
『えっ』
『何』
『…ひ、一人って誰?』
『バカなの?』
『何で今日そんなにバカバカ言うの!』
『名前がバカだからでしょ』
『うぅ…!』
『名前、』
『なに…?』
『…帰ろ。お腹空いた』
『う、』



こんな簡単な問題くらい、自分で解いて貰わないとね。






にぶちん彼女。
20140602
20140608





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