図星でした。 →同級生/マネ/恋人 『名前さん名前さん』 『はい何でしょう孝支君?』 久しぶりの午後からのオフ。 私の家で二人で昼食を取った後、部屋でまったりしていたらさっきからそわそわしてた孝支が意を決したように名前を呼んだ。 しかも"さん"って、何だろう。 部活終わってから何か変だったんだよね。 そわそわそわそわと。珍しく。 自分で呼んだ癖に、返事をしたら黙り込んでしまった。 私はスマホをベッドに投げて、改めて彼に向き直る。 『なに?』 『…あ、いや…』 『?』 本当に珍しい。何か目、泳いでるし。 手を握ったらびくっと震えた。 すごい、汗なんだけど。 『え、何本当にどうしたの』 『えっと、』 『うん』 『あの…お願いがあってデスね…』 『うん?』 お願い?しかも何かカタコトだし。 余程頼みにくい事なんだろうか。私は孝支の頼みなら出来ることなら何でもしてあげたいんだけど。 『私にも出来ること?』 『名前にしか、出来ないこと、って…言うか…』 何で目を合わせないんですかね、孝支君は。 私にしか出来ないこと、と言ってこの態度。 からかいも含めて聞いてみた。 『…まさかえっちな事ですかー?へー?はーん?』 『なっ、ち、違うよ!』 『じゃあ何?そーゆー事以外で私にしか出来ない事って何?』 『名前はもう少し恥じらいを持って!』 少し頬を赤めて諭す様に言われた。 私としては今更な気もするんだけど、呆れられても嫌なのでとりあえず謝っておこう。 『あのさ、』 『うん』 と、ようやくここで本題に入るらしい。何やらエナメルバックを漁りだした。 えーなに?…ちょっと怖い。 少しドキドキとしながら待っていると、鞄から出てきたモノは、、 『ユニフォーム?』 『…』 試合の時に着る孝支のユニフォームだった。 『何、破けたの?』 『違くて、』 『じゃあ何?』 『着てみて欲しいんだ』 『はい?』 『俺の、』 『うん』 『ユニフォーム、を』 『はい、』 『名前が、』 『私が孝支のユニフォームを着ればいいの?』 『…う、うん』 『良い趣味をお持ちで…』 『ち、違うってば!』 あ、孝支泣きそう。 田中がーとか西谷がーとか必死に説明しだした。別に私、何も言って無いじゃない? 『良いよ』 『だよねゴメン、無理にとは――――え?』 『うん?だから、良いよって』 『え、マジ?』 『あ、でも部活後でアレだからシャワー浴びてくる』 『えっ!い、良いよそこまでしなくて!名前そんな激しい運動してないだろ?』 『でも、』 『大丈夫だから!』 じゃあ着替えるからあっち向いてて。 そうドアの方を指さすと素直に180度回転した。 …そ、そんなに着て欲しいの? 何が楽しいのか分からないけど、とりあえず着ているジャージを脱いでユニフォームを手に取る。 孝支はこれを着て試合してるんだよね、当たり前なんだけど。 (うわ、ドキドキする) 孝支の匂いがするそれを身につけていく。 当然だけど、ぶかぶかで。 ズボンの余りは手で摘んでおこう。 『き、着たケド…』 『もういい?』 『うん、』 ゆっくりとこちらを振り向くと、見た瞬間目を見開いて固まりやがった。それはどっちの反応なんですかね? 『変…、なのは分かってるけどそんなリアクションは無いでしょ』 『ご、ごめん…て言うか変じゃないよ!?』 おいでって引き寄せられて膝の上に。 ハーってため息吐いてから、抱きしめられた。 『可愛い…』 『それは、どうも…』 満足?って言ったら顔を上げて、うん、って頷き掛けた所で顔を真っ赤に染め上げた。今度は何だろう名前ブラ見えてるへーうん、ブラ? 『…!』 『おー真っ赤…』 『ば、ばかっ』 シャツを掴んで胸元を隠す。 流石にこれは恥ずかしい。 『可愛い』 『へんたい』 『名前が』 『…、』 ニシシ。白い歯を見せていたずらっ子みたいに笑う孝支はさっきまでの照れ方が嘘みたいだ。 なんだか悔しい。 もう、と首に腕を回したら自然に唇が重なった。唇柔らかい。 『もっかい…』 『…えっち』 『男はみんなえっちなんですー』 なにそれ。可笑しくて笑っちゃって、でも孝支は何回も唇をくっつけて来るから私もそれに答えて。 次第に深くなってきて舌を絡められた時だった。顔が離れて距離が出来た。 やめちゃうの? その気になってしまっていた私が訊ねると孝支は手のひらで顔を覆い、耳まで真っ赤にする。忙しい人だなと私は冷静に思った。 『…大変申し訳ないんだけど』 『うん、』 『ユニフォーム脱いでもらっても、いい…?』 『うん?』 あー…。何となく察しが付いた私はニヤリと笑って言ってやった。 『試合中に思い出したら大変だもんね?』 『っ!』 どうやら図星のようで。 end ヘタレ菅原先輩カワイイよねって思ったから。 prev / next
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