気に入らないわ!










『遊来、少し時間よくて?』
『あ、妹シャーク!なにか…、いったい!!』
『その呼び方止めなさいって言ってるでしょ』
『…あい…ふみまへん…』
『わかれば良いですわ。……ごめんなさいね、頬抓ってしまって…』
『ん…?』
『痛かったでしょう、』

本当にごめんなさいねと優しく頬に触れた妹シャークの手は、シャークと違って細くて柔らかくて。
でもシャークとおんなじ体温だった。



『遊来?』
『なんでもない…』

なんか恥ずかしくて言えないけど。



『で、璃緒どうしたの?』
『そうでしたわ。あなた、昨日凌牙とデュエルしたんですって?』
『うん?』
『私との放課後デートを断る癖に、凌牙とデュエルするなんて…一体どう言うおつもりかしら?』
『え、あ…、』

そういえば…もうしばらく前だけど、璃緒に放課後買い物に付き合うよう言われた時があったっけ。
その日はお姉ちゃんにお使い頼まれてて行けなかったんだけど。


『それは…』
『貴女がデュエルが好きなのは知ってます。けれど…』
『けれど…?』
『凌牙ばかり構うのは…気に入らないわ!』
『へ…!?』

にっこりと天使みたいな笑みで手を握る璃緒は、今日は私と放課後デートしてくださらない?と言うけど明らかに断れない雰囲気が出ていて、圧倒された私はコクコクと首を縦に振ることしか出来なかった。


『決まりですわね!凌牙には私から話しておきます』


にっこにこしながら璃緒は帰って行く。
その背中を見つめながら、最近私がシャーク独占しちゃってたから悪かったかなぁと言ったら、アストラルが「逆ではないか?」と呆れた声を出した。


逆?










→→→→→→→→→→→
───────────
←←←←←←←←←←←




『なんっで!凌牙も付いてくるのよ!』
『いーだろ別に。暇だから付き合ってやるよ』
『頼んでないわ!』
『うるせーな…』
『お、落ち着いてよ璃緒…』


今にも噛みつきそうな勢いの璃緒に、何故かシャークまでイラッとしたらしく目つきが変わった。
この二人は兄妹だけど、双子だからかキョーダイ喧嘩は良く勃発する上に二人とも案外沸点が低い。
慌てて二人の間に入って喧嘩は駄目だよと距離を取らせる。


『璃緒、今日は買い物するんでしょう!?』
『え、えぇ…』
『折角ショッピングモールに来たんだからさ!三人でお買い物楽しもうよ!』

二人の手をそれぞれ握って見上げれば、璃緒はそうねと笑ってシャークはそっぽを向いたけど小さく頷いた。
うん、うん。喧嘩はダメだよ二人とも。

それじゃ行こうかって足を踏み出せば、両手それぞれに力が込められた。
やっぱり双子なんだな。


『なぁに?嬉しそうですわね』
『シャークと璃緒と一緒だからだよ』
『…はっ』
『え、何で笑うのシャーク』
『照れ隠しね』
『照れてねーし』
『シャーク照れるなよー』
『はったおすぞ遊来』
『怖いよシャーク…』


睨まれて身震いしたら笑われた。
シャークも璃緒も、仲直りしたみたいでよかった。







next




―――――――――――
璃緒様の口調微妙ですみません。
なんかよく分からなくなります…むず…い…

神代兄妹に挟まれるとか天国やんな!

→余談。
妹シャークを、璃緒と呼ばせるか璃緒さんと呼ばせるかで凄く迷った。
遊馬なら何て呼ぶかなーと考えて、でも遊馬どっちも呼びそうにないなーと思ったので、フレンドリーに呼び捨てにしてみた。

さん付けより呼び捨ての可能性の方が微レ存。

でもやっぱ違和感有るんだが…私だけ?(苦笑


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