俺はエスパーか




『だから、何であそこで罠発動しなかったんだよ?』
『う…』
『君のことだ。どうせ何を伏せたのか忘れて居たんだろう…』
『そ、そんな事、』
『そんな事?』
『……忘れて…ました…』


シャークとアストラルが私を挟んで両側で盛大にため息を吐いた。
そ、そんなに言うこと無いじゃない…私だって前よりは全然…ぜん、ぜん…

『強くなってるのかな…すっごい疑問…』
『遊来…?』
『だって…今日だってシャークにぼろ負けだったし…』

シャークは凄い。
どのデュエルでも先の先まで読まれてしまう。
て、言うか…

『シャーク私の事知りすぎな気がする…』
『は、あ?』
『私のデッキに何が入ってても全部予想ついてそう…』
『俺はエスパーか』
『そ、それくらいシャークが凄いって事!』

バカな事言っちゃったなぁなんて後悔したんだけど、シャークの顔もちょっと赤くてびっくりした。

『しゃ、シャーク…?』
『…まぁ、お前の事なら』
『え、』
『大抵は分かるかもな…』
『え…?』
『単純だからな遊来は』
『えぇ!?』


シャークの発言の後に、アストラルから単純と言われショックを受けていると、ばちっ!と…アストラルとシャークの視線が交わり火花が散った気がした。
そんなはず無いのに…火花なんて。まさか。







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アストラルのオッドアイと、視線が絡んだ。

最近目視出来るようになった、アストラルと言う生命体は遊来にとってとても大切な奴なんだってのは、知ってる。

実際デュエルが下手くそな遊来がWDCで(いざこざが色々あったとは言え)優勝出来たのも、俺と並んでデュエル出来るくらい強くなってんのもコイツのお陰なんだと思う。

俺には見えなかったが…大会の最中もカイトとやり合ってる時も支え合ってたんだろうな。

俺は自分の事ばっかりでコイツに構ってやれなかった。
でも結局、俺やWを救ってくれたのはコイツだった訳で…。

だから、今度は。
俺が何としてでも守ってやる。
そう心に決めた。
アストラルと言う存在が遊来の心の支えになってるってんなら、俺は隣で支えてやりたい。
そう、思ってた。









見えなかった時は。









実際見えるとイラッとくる奴だった。
普通の会話の時は…まぁ特に何も無いんだけどな。

問題は、遊来にベッタリだと言うこと。
普段は遊来の周辺をふよふよ浮いているだけなんだが、何故か俺と遊来が二人だけになるとベッタリとくっつく。
後ろから首に腕を回して抱きついて、手元のデッキを覗き込む…とかだな。
別にヤキモチとかじゃねーよ。ベタベタしてうぜーだけだ。
その時何故か俺をチラチラ見て、誇らしげにどや顔を向けられたりとかな。言葉にはしてこないが「どうだお前にはできねーだろ羨ましいか」とでも言いたげな表情だからイラッとくる。
別に羨ましいとかじゃねーし。断じて違うから。

カイトと二人の時はどうなのかは知らないが、俺と居るときは絶対ベタベタしてる方が多い。

実際触れられはしないらしいが…なんだかな。


『アストラル?シャーク?』
『あ…?』
『どうしたの二人とも…』

にらみ合ってたら遊来が不思議そうに俺を見上げてきた。
う、上目遣いとは…なかなかあざとい。
別に、と顔を逸らせばアストラルがふっと笑った気がした。…イラッとくるぜ。




『帰るぞ』
『え、もう!?』
『もうすぐ飯の時間だろ』
『う…』

鞄を持って帰るぞと言えば、まだデュエルし足りねーのかデッキをしぶしぶケースに戻しながら鞄を持った。
もう空も夜の色に染まりつつある。


『明日また相手してやるから』
『ホント!?』
『あぁ…だから今日は帰るぞ』
『うん!』


うわ、すげー満面の笑み。
嬉しそうに隣に並んだ遊来は明日こそは勝っちゃうよとスキップして。

まぁいいか。
今はアストラルも含めてこの状況を楽しんでやろう。





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アストラルは触れられ無い分ベタベタしてれば良い。…日本語可笑しいな、これ。
鮫は完璧にヤキモチです。

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