送っていこうか



『うはぁっ!遅刻っ!ちこくぅううっ!!』

着替えて鞄を持って、おばーちゃんとお姉ちゃんにいってきますして。

今日もかっとびングよ!私!







『君は学習と言うものがないのか』
『なっ!』


アストラルが涼しい顔をして言った。
ムカッとして後ろを振り向き全力で抗議する。


『昨日はアストラルが悪いんでしょ!?夜中にロビンの再放送見てるんだもの!明るくて眠れなかったの!』
『…それはすまなかった…だが、君の寝坊は一昨日もその前も』
『うぐ…』

これは話が悪い方へと向かうフラグだ。
アストラルがクドクド言い出す前に踵を返す。


『遊来、だいたい君は…』
『もぉー!朝からうるさぁいっ』
『うるさいとはなんだ』
『アストラル最近小姑化してる!』
『こじゅうと?とは…どんな効果だ?いつ、』
『発動しません効果じゃない!もうアストラルがモンスター!』
『!?』


私がモンスターとはどう言う意味だと返すあたりアストラルは本当に相変わらずで、もうホント嫌になっちゃう。
アストラルは好きなんだけどね…お姉ちゃんが二人になったみたいでなんか…大変なんだもん。


『それはそうと、遊来』
『何よ』
『学校、』
『っあああ!ちこくぅううっ!』


ヤレヤレと呆れるアストラルに少しイラッとしたけど、今はそれどころじゃない。
学校遅刻しちゃう!
アストラルがうるさいからよと悪態を吐いた私に、君が寝坊するからだと返されてああごもっともですと泣きたくなった。
流石に3日連続遅刻はマズい。
半泣きで走りながら学校を目指していたら、信号待ちの交差点の所で空から人が降りてきた。

『えっ、カイト!?』
『おはよう、遊来』
『おはよ!カイト!オービタル7も!』


朝から何やってんの?と問いたい…けど、今の私はそれ所じゃないんだった。


『悪いんだけど、私急いでるから…』
『今から学校か』
『うん、ちょっと、遅刻しそうで…』

全くお前は…とカイトにも口うるさく言われるかと思ったら、カイトはそうかと少し考えて。


『送って行こうか』

とハルトに言うみたいに優しい声を出した。

『え?』
『オービタル7!』
『カシコマリ!』
『えっ、えぇっ!?』

背中に装備したオービタル7は羽を広げる。
まだ頭が付いていけてない私を、カイトは軽々と持ち上げて。


『え、えぇえ、え!』
『掴まっていろ』
『え!え!?』


背中と膝裏に回る腕。
これは所謂お姫様抱っこと言うやつですかね!?

下を見ればどんどん地面が離れていくのが見えた。
いつの間にやらビルより高い位置を移動している。
なるほど、空なら信号も障害物も無いから真っ直ぐ学校へ行けるのねと感心した後、高さと速度に心臓がバクバクしだした。


『こ、怖いぃいいいっ』
『ならば下を見るな』
『あ、そっか』

目を瞑って落ちないようにカイトの首に抱きつく。
これで怖くない!…怖くは、無いけど。


『(なんか、カイトの匂いが、して…)』
『?…遊来…どうした?まだ怖いか?』
『う、ううん!だいじょぶ…』
『もう少しだ』


か、カイト…私一応女の子何だけどな…。
そんな事を思っていたら、あっと言う間に学校に着いてしまった。

『遊来…遊来…着いたぞ』
『う…?』

とん、と靴の音がして目をゆっくりと開くと、そこは見慣れた学校の校門前。
時間は…全然セーフじゃん!

『間に合ってる…!ありがとうカイト!』
『っ、ほら降りろ』

嬉しくて抱きついたら耳まで真っ赤にしたカイトが顔を逸らした。
そんなに照れなくても良いじゃないと地面に足を付けると、私が離れた瞬間カイトが前のめりになり倒れそうになって。


『か、カイト!?』
『っ、』
『はよ、遊来』
『シャーク!』
『凌牙!貴様…っ!』


どうやらカイトが倒れそうになったのは蹴られたからで、蹴ったのは気怠そうにあくびをしながら現れたシャークだった。






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サボろうかと思ったけど空飛んでる二人が見えたからアイツ遊来を拉致かとブッチンしたシャークさんが走ってきたら学校だった。
全力登校シャーク(なんかジャンプの漫画みたい←※遊戯王はジャンプ漫画です)

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