よかれと思って!
『Vよ!絶対絶対V!』 『にゃんでそうなるのよ!カイトに決まってるでしょう!?小鳥の分からず屋!』 『キャットちゃんこそ!』 『ちょっとちょっと!何で喧嘩してるのよ二人とも!』
二人が口げんかするのはいつものことだけど、なんか今日はちょっと違う。 ミハエルとカイトの名前が出てくるなんて、原因は何なんだろうか。
『二人とも!』 『落ち着きなって!』
セイとサチが二人に割って入る。 良かった、この二人なら止められ…
『シャークだから』 『W様よ』
四人の間に沈黙が流れた。 なんか嫌な予感がした私は気付かれる前に物陰に隠れる。
『Vよ!』 『カイトだってば!』 『いいえ!シャークよ!』 『違うわよ、W様ぁ!!』
Vとカイトから、シャークとWが追加された。 一体何の話しをしているんだろう。 誰が一番格好いいか、とかかな? 割って入れる雰囲気でもなくて、アストラルと二人で眺めていたら四人の言い合いは更に加速して。
『あなた達!アストラルが居なくなった時のことを忘れたの!?側でずっと支えて昼も夜も励ましてたのはVなのよ!?』 『それを言うなら、アストラル復活のキッカケを作って迎えに来てくれたのはカイトじゃにゃい!』 『何言ってるのよ!一番長い付き合いなのはシャークよ!いっつも一緒にいて、遊来を支えているわ!』 『時間じゃないわよ!あなた達見なかったの?W様と遊来は挨拶でキスする仲なのよ?』
『キスだったらVだってしてたわよ!おはようとお休みのキスをね!』
『(なんですと!?)』
『カイトにゃんて遊来が遅刻しない様に毎朝迎えに来てるキャット!』
『(初耳!)』
『シャークなんて遊来をストーカーしてるヤツをデュエルで片っ端から叩きのめしてるわ!』
『(シャークなにしてんの!?あとストーカーってなに!?)』
『W様だって負けてないわ!この間休みの日に遊来とデートしてるのを見たんだから!』
『デートォ!?』 『にゃんですって!?』 『聞いてないわよデートだなんて!!』
『(デート?ああ、トロンのお使いかなんかの時かな??)』
なんかよく分からないけど、私の知らないことを知ってるこの子達が怖いわ。 いい加減止めないとと私が立ち上がるのとほぼ同時に、教室の扉が開いて私を呼ぶ明るい声が聞こえてきた。 そいつは私を見つけると可愛らしい顔をして、すごく嬉しそうに笑って。
『遊来さぁーん!捜しましたよー!』 『!?』 『もぉー今日は僕と一緒にアイス食べに行く約束したじゃないですかぁ!』 『は?や、あのっ』 『よかれと思って!失礼します!』 『えぇ!?』
手を引かれてそのまま、気付いたら走ってた。 小鳥達の声が、もう遠い。
『もう、ベクターっ』 『真月ってよんでくださぁーい』 『絶対!嫌!』 『素直じゃないねー遊来ちゃんはー』 『っ、』 『そのくせ俺は拒否る訳だ?変な奴だな』
ケタケタ笑うのは、もう真月じゃない。 こいつは何がしたいんだ。 私には到底理解出来ない。
立ち止まって、ベクターを見上げる。
『何なのよあんた』 『あ?』 『いきなり出てきてさぁ』 『助かっただろーが、感謝して欲しいくらいだぜ』
悪魔みたいな笑みを浮かべて感謝しろ、だなんて。訳わかんない。 繋いでる手が温かくて変な感じ。ちょっと力を込めてみたら、同じくらいの力で握り返された。へんな、かんじ…。
『…も、もちろん奢りでしょーね』 『あ?』 『アイス、食べるんでしょ?約束した覚えないけど』 『ハァー?何で俺様がお前に奢らなきゃなんねんだよ』 『じゃあいい。いこ、アストラル』 「あぁ」 『後でベクターの性別でも書き換えしよう』 『!?』 「あぁ、中身も真月風に書き換えたらいい」 『!?!?』
二人で昇降口に向かってると呼び止められた。 …少し酷かったかしら? また手を取られて歩き出す。 あは、ベクターの手のひら少し湿ってる。
『仕方ねーなー』 『31ね』 『コンビニじゃねーのかよ!?』 『え?』
はーっ、深い深いため息を吐いたベクターが、ダブルまでだぞって眉間を抑えた。 腕にくっついてお礼を言うと、まな板が当たって痛いって言われたから取り敢えず。
『リ・コントラクト・ユ…』 『ごめんなさい!』
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シャーク?カイト?V?W? いいえ、ベクターです。 (ベクター追悼回視聴後)
継ぎ足して書き換えたので可笑しくなってしまいましたが悪しからずー(゚3゚)汗 よかれよからぬりょうほううまい。
しろたま
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