コイツを離して欲しくば、俺とデュエルしな





『遊来っ!』
『んーっんぅうぅっ!』
『いー眺めだぜー遊来…』
『お前は…No.96!?』
『んんーっ』
『テメー!遊来を離しやがれ!』
『やだね、なぁ?遊来…』
『ん、ん…っ』
『遊来!』


とりあえず、息が出来なくて涙が出てきた。
苦しい…しん、じゃうっ


『あ、鼻も塞いでたわ』
『ぷはっ!はっ、はぁっ』
『遊来っ!』
『っ…んもーっ!いきなり何すんのよクロちゃん!』
『クロちゃん言うな!』
『いっつも悪戯ばっかりして!』


アストラルはどうしたのよと睨めば、ブラック・ミストは得意気に「鍵の中に縛り付けてきた」と言った。
全く、コイツは本当に油断ならない。


『今回は何が目的よ?お菓子?』
『うるせぇ!今回とか言うな!後、菓子とか食えねぇから!』
『じゃあ何でこんな事するの!』


私の問いに、ブラック・ミストはにぃぃい…と顔を歪めて笑うと、そこのお前とシャークを指さした。

『!?』
『え、何?シャーク?』
『コイツを離して欲しくば、俺とデュエルしな』
『何…!?』
『え!ちょっと!』


しゅるしゅるとブラック・ミストから伸びる影が私の身体を包んでいく。
言うことを聞かなくなった身体は勝手にDゲイザーとディスクをセットしてカードを引いた。

『か、体が勝手にっ!』
『さぁ…!デュエルだ!』
『く…っ』

躊躇うシャークにブラック・ミストはイラッとしたのか、チッと舌打ちをする。
私が解放されるにはブラック・ミストを倒すしかない。
シャークに、私に構わずデュエルで倒してと叫べば、ウルセエとブラック・ミストに睨まれた。

『遊来はそこで見ていれば良いんだよ』
『っ、』
『ほらほらシャーク?大切な遊来ちゃんが苦しんでるぜー?』
『てめぇ…』
『遊来、自由がきかないだろう?』
『もう!離してよっ!』
『まぁそう言うなよ…ほぉら、シャーク?デュエルすんのかしねえのか』

くっくっと笑うブラック・ミスト。
私の身体は勝手に動き、スカートの裾を摘んで。


『えっ!?』
『遊来!?』
『早く答えねーと、コイツのスカート捲っちまうぞ』
『ブブブ、ブラック・ミスト!』
『…』
『な、何で考えるのシャーク!?そこは即答でイエスって言ってよ!』

大体、私のぱんつなんか見たって楽しくないでしょ!?ああっ目を逸らさないでよなんかショックだからっ!!


『わかった…』
『シャーク!』

ありがとう!と、言いたい所だけど、ちょっと今躊躇ったよね?何で躊躇ったよ?後で璃緒に言いつけるからね。


ディスクをセットするシャークを見てブラック・ミストは心底嬉しそうにした。
そして。

『遊来』
『なに?』
『目ン玉かっぽじってしっかり見てろよ、俺が最強だって所を!』
『?』


《─ARビジョンリンク完了─》


『『デュエル!!』』













『くっ、ブラック・ミストめっ!』

縛られた手足を動かすが、ビクともしない。
最近大人しくしていたからと油断してしまった私の責任だ。いつもの悪戯ならばいいが、なんだか今日は様子が違った。
ああ、早く行かなくては遊来が心配だ。だが、私の焦る気持ちをあざ笑うかのように黒の鎖は私を締め付けていく。


『遊来…っ』


遊来が私を呼んでいる。
早く行かなければと逸る気持ち。
せめて声が聞こえるように、と名前を叫ぶとパキリと弾けるようにして鎖が解けた。

『これは…』


突然壊れた鎖。
前を見ればそこには…

『ホープ…君が壊してくれたのか』


黙ってホープは出口を見据えた。
ああ、そうだ遊来!

『ありがとうホープ、今から遊来を助けに行く!』

そう告げて鍵の外へと向かう。
どうか、無事で居てくれ遊来っ!!






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一旦切ります。


目ン玉かっぽじったら駄目じゃね?とか言っちゃった人は………



ツッコミのセンスがないです(→by脱色)

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