毎日デュエルし放題じゃない
※ハルトが黒い
『そうかいフェイカー…君が引かないと言うのなら、ここで白黒ハッキリさせようじゃないか…』 『望む所だ…バイロン…っ』
《─ARビジョン リンク完了─》
『『デュエルっ!!』』
『…ちょっ、父さ…』 『…おっさん二人で何やってんだか…』 『もー父様っおやめください』 『くだらない…』
こんな所(天城家玄関直ぐ廊下)でデュエルをおっぱじめやがった父親に、焦るカイトとミハエルと呆れるWとクリスの声がした。
『すっごい…』 『あぁ…この二人がデュエルしたら…』 『いったいどっちが勝つんだろう!?』
ごくり…私とアストラルがそれを真剣に見つめていると、隣から心底呆れた声がして。
『…オメーはもっと危機感持てよ』 『え?』 『このデュエルで嫁ぎ先が決まるかもしれないんだぞ』 『え、えぇ!?』 『(驚くのは今なのか)』 『(やっぱこいつバカだわ)』 『(父様…何が何でも勝ってくださいっ)』
なんか隣で祈りだしたミハエルが気になったけど、どうしよう…デュエルを止めるべき?と頭がぐるぐるしだした頃。 手を引かれてその場から離れた。 手を引いているのはほかの誰でも無くカイトだ。
『か、カイト…?』 『付き合ってられん…』 『で、でも…』 『あんな事で将来が決まったりするわけが無いだろう』
結婚など尚の事だ、と。 そのままカイトとエレベーターに乗る。
『全くだな』 『遊来の意見も尊重すべきだと、私は思う』 『父様ったら、あんな事を考えていただなんて…』
『…何でお前たちまで居るんだ…』
エレベーターには、ミハエル達まで乗っていた。まぁ多分、あの二人のデュエルは長引くだろうから…暫くは何処かに避難するのが賢いとは思う。 私が、良いじゃないみんなで行けばハルトも喜ぶよ!とカイトを説得して、結局みんなでハルトの元へと向かう事となった。
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『で、デュエルしてるの?』 『うん』
隣に座るハルトがまたかぁーと苦笑いして言った。どうやらこれは日常らしい。 (だからクリスもカイトも慣れてたのかな?)
『でも、僕は遊来が兄さんと結婚したら嬉しいなー』 『ぶふっ!』 『げほっ』
ハルトの屈託の無い笑顔に、思わず私はお茶を噴く所だった。 カイトは余程予想外だったのか、酷く咽せている。
『は、ハルト…』 『遊来は兄さんの事嫌いじゃないでしょう?』 『う、それはそうだけど…』 『それに、兄さんと結婚したら兄さんと毎日デュエルし放題じゃない』 『えっ』
カイトと、
『一緒に住むんだから時間も関係無いし』
毎日、デュエルし放題…。
『ハルト、遊来を俺で釣るんじゃない』 『あ、バレた?』 『えっ』
にこにこ笑うハルトは天使そのものなのに、考えていることは小悪魔的だ。 Wに単純と言われ、ムカッとしたけど言い返せないのが辛い。
『でも、遊来好きな人とか居ないの?』 『え…っ』 『だって遊来、格好いいプロの人とかにキャーキャー言うタイプでもないし…』 『うーん、』
ハルトに言われて改めて、自分の色気の無さを実感した。 確かに、小鳥やキャットちゃん達に比べたら私は恋愛…以前に異性への憧れとかそんなのが少ない気がする。 でもなぁ…まだ私恋愛とか…よく分からないんだよね。正直。
『まだ私13歳なんだよね…』 『うん?』 『年下のハルトに言うのもなんだけど…まだ良く分からないの…付き合うとか、結婚とか』
強いて憧れの例を上げるなら、お父さんやお母さんみたいな素敵な夫婦になること。 漠然としてて…具体的な例は出せないけど。
『(遊来はまだ13歳か…)』 『(兄貴は20歳…7つ下じゃ流石に犯罪だな。俺は17で今考えたらアウトだが…コイツが20の時は24歳…全然セーフだな)』 『(兄様達やカイトより遊来に年が近いのは僕だ。まだあと3年…僕は結婚は出来ないけれど…、あれ、待てよ?遊来だって後3年したら結婚出来る年じゃないか…!なんて事だ!)』 『(完全に)』 『(ミハエルが)』 『(有利っ!)』
『…え、ミハエル達何をそんなに考え込んでるの?』 『遊来、彼らから異様なオーラを感じる…』 『多分すごくくだらない事だと思うから気にしなくて良いと思うよ』
ハルトは少し冷めた紅茶を口にしてそう笑った。
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─────────────── ハルトが…黒すぎるっ(く…っ カイト兄さん空気ですみません。 それとトロン兄弟がアホすぎてすみません。
とどのつまり、トロン三兄弟も満更ではないらしいです。
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