V






※真月零/絶倫零君







どれだけこうしているのかわからない。
気を失った様な気もするし、そうじゃない気もする。
日は確実に傾いているが、それが今日の出来事なのかはたまた今日は既に昨日となってしまっているのか…流石の私も朦朧としてしまって分からずにいた。


『なまえさん…』
『し、ん…』

良かった気が付いたんですね!
真月の言葉から、どうやら私は気を失っていたらしい。
時間の感覚も無いが恐らくきっと、そうは経っていないはずだ。


『なまえさん?』

真月は可愛らしい声と愛くるしい顔を私に向けて緩く腰を振る。
下腹部に戻る違和感と、腹のナカを弄(まさぐ)られる感触にコイツはまだ私に入っているのかと、感心さえして。
ぐちゅぐちゅとナカをかき回し自らも喘がんばかりの甘い声を出しながら、真月は夢中で私を"犯して"いた。

『なまえさん…なまえさんっ』
『っ…しんげつ…』
『気持ちいいですか…なまえさんっ』
『やぁんっ』

緩く動いていた真月は、飽きてきたのか次は打ち付ける様に抜き差しして。
一度ギリギリまで抜かれた後に最奥を突かれれば、驚いたことに冷めていた熱は戻り真月をぎゅう、と絞め付けた。
あは、と真月が笑う。


『僕、嬉しいですっ』
『んぁ゙っ』
『なまえさんが僕をそんなに欲してくれているなんて…!!』


きゅう、きゅう、と私のカラダは真月を舐めるように絞め、次第に動きを緩めだした真月はぶるりと身震いして止まる。
息を荒くして私から出ていく彼は吸い着くようにちゅぽと音を立てる結合部を認めると、恥ずかしくて泣きそうになる私に微笑んだ。
私から抜いた自身に被せていたピンク色のそれを取り、ナカに溜まる白を見つめた後は無造作にベッドに投げて次を探す。
くち、縛ってないから…シーツに彼の精液が垂れてシミになっていく。


『良かれと思ってすぐに次を準備しますっ』

彼はまるで気にしていない様で、同じようにベッドへ投げ出された箱を手に取り新しいのを取り出す…筈が、どうやら中は空だったようでぐしゃりと潰すと床へと捨てた。
それを何となく目で辿れば、同じ様な箱や破られた袋、そして使用済みのゴムが床に落ちていて。
背筋が凍り付いた。
一体彼はどれだけの時間、どれだけ私と行為を行っているのだろうか。

そう思ったら一気に身体が怠くなった。

けれど逃げる気も止めてと頼む気にもなれず、多分ゴムでも無くなれば何時もの可愛らしい笑みで無くなったからまた今度とでも言うだろう。次はもっといっぱい買っておきますね・なんて照れたようにいつもの口癖と共に冗談なのか本気なのか分からない声で。


寝返りうつのも怠い私は目だけで彼を捜す。鞄を漁っていた真月は、ぐしゃぐしゃと何も入っていない袋を丸めて床に投げながらベッドへと戻り申し訳なさそうに言った。


『すみません、良かれと思って沢山買っておいたんですが…全部使ってしまったみたいで!』
『ぜ、んぶ…?』
『はい!だから、』


どうやらこれは終わりのようだ。
愛くるしい真月零を見れなくなるのは残念だ。ベクターの奴に今戻られるのも、なんだか不快だなぁなんて思う私は、何というか、その。

甘かった様だ。


"真月零"は微笑むと、そのまま私に被さってきて。


『え…?』
『次からはナマになります!』
『え、ちょっまだするの!?』
『良かれと思って!』
『もう腰痛いんだけど!』
『でもなまえさん、ナマで僕が欲しいでしょう?』


ぬるんと先が侵入してきた。
あああ、余計なものが無くなって熱い熱い真月の熱が私に直接伝わってくる。
これが奥まで入って来て、中をメチャクチャに……カキマワされたい…!

『真月…』
『分かってます…なまえさん』
『あ…!』
『僕にメチャクチャにされたいって…顔に書いてますからっ』
『ひんっ』
『すごい…こんなに絞め付けてきて…僕を離したくないって言ってますっ』
『んぁあっしんげつぅ…っ』
『なまえさんっ』


可愛いです、と恍惚とした顔で言われてお前の方が可愛いと言いたくなった。
全く。こう、演技が巧すぎると本当にこれが真月零と言う人間でベクターなんて別の生き物何じゃないかと錯覚しそうになる。

たぶんきっと、おそらく。
私は甘く愛してくれる"真月零"が好きなのだ。


『…す、き』
『…は、ぁ…?』
『しんげつ…が、すき…』
『……僕も好き、ですよ…なまえさん…』


多分今腹の中では大爆笑しているであろう、しかしベクターを微塵も感じさせず、彼は私の言葉にそう返した。
本当に、コイツはすごいなと感心さえする。

真月は限界なのか、私に被さる様に倒れ込み密着した。
はぁはぁと荒い呼吸を耳元で直に感じながら、私は彼の背中に手を回す。

羽の付け根辺り…人間で言う肩胛骨の辺りに触れるとびくりと身体を跳ねさせた。
弱いのだろうか?撫でてやると私の体内にある彼の一部が膨張する。

『し、ん…?』
『も…、なまえさん限界ですっ』
『んぁっ!?』

回した腕はそのまま。
彼と密着したままで下半身を揺さぶられた。
胸の先を甘く噛まれて身体が痺れる。
視界がチカチカとしだして自分の限界を悟った私は、彼の項をなでてそれを伝える。
顔をあげた彼に、普段はしないが…口づけを強請ってみた。

"キスをして"

かすれた声だったけれど、伝わったらしい彼は驚き目を開いた。
ああ、頼む。今はベクターに戻らないでくれ。
後で散々笑って良いから。
だから、今は。

『零…』
『…はい、』


良かれと思って。
柔らかい唇が私のそれに触れた。

ぐぐぐ、と奥に届く真月の一物が私を絶頂へと誘うと共に、彼自身も熱を吐き出した。

お互い身震いするほどの快感の後、力が抜ける。



と、同時に。




『あ、』
『あぁ?』


柔らかかった唇は消えた。
更に下半身にあった圧迫感も消えて。

お互いの視線が絡み合う。

『…何戻ってんだよなまえ』
『そ、そっちこそ…バリアンに戻っているぞベクター』


どうやら気持ちよすぎて本来の姿に戻ってしまったらしい。
湿った身体と体液まみれの下半身が、なんだかむなしく感じた。







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不穏なww空気ww
気持ち良すぎて戻るってのはなんだか法則的に間違ってる気もするけど…まぁいいかー(つд`)←

意外にも続いてしまったので、良かれと思って中編部屋を作って移動します!
拍手やアンケありがとうございます!暇遊人気で吃驚ングだぜw俺ww


犬猫

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