私と君の関係とは?


→天城兄弟/ハルトが黒い





『これは"あまい"だな』
『おいしいでしょー!』
『うむ、おいしい!』
『でしょ!兄さんの入れたホットチョコレートは世界一だよ!』
『は、ハルト…!』
『せ、世界一なのか…』

凄いなカイトは。
感心しながらハルトの頭を撫でると、ハルトは嬉しそうにニコニコしていた。








ぐぅー。
腹からなにやら音が出た。
人間はエネルギー摂取と排出の永久コンポ…と言う何と言うか効率の悪いサイクルで動いている。
それは人間態になった我々も同じの様で、つい数時間前にプリンを摂取したにも関わらず既にエネルギー切れの様だ。

『さて、どうしたものか…』

困ったと街中をウロウロしている内に、どんどん足に力が入らなくなってきた。
これは困った。いよいよ本格的に。
人間とは何と弱いものだ…。

疲れて座り込む。
ぐぅ、とまた腹が鳴った。
私は…このまま死んでしまうんだろうか…、と思いかけた時。

『大丈夫?』


私の前に天使が現れた。






『天城ハルト…君は天城カイトの弟なのか…』
『うん』

そうだよ。
笑顔を浮かべて、答える彼はなるほどこれがアリトの言う"天使"か、と思わずには居られないほど愛らしかった。
動けない私のために持っていたきゃらめるを分けてくれたのだ。きっと間違いなく天使だと思う。


『でもびっくりしたな…兄さんにこんな綺麗な女の人の知り合いがいただなんて…』
『?』
『もしかして彼女?』
『かのじょ?』

彼女とはなんだ?
私が聞くと、ハルトは一瞬きょとりとしたあと、すぐに笑顔に戻して。

『お友達って意味だよ!』
『そうなのか?ならば私はカイトの彼女だな』
『お姉さん面白いね!』
『そ、そうか?』

何故だか腑に落ちないが…ハルトが凄く笑顔だから、いい。…のか?
暫くしない内に、カイトが空からやってきた。どうやらハルトが連絡したらしい。

優しいハルトは私の為にカイトに頼み、動けない私を天城家へと招いてくれた上に食料までくれた。
本当にハルトは天使だ。


そこで冒頭の会話に戻る。
カイトの入れたホットチョコレートは甘くて美味しくて、ハルトが世界一と言うのも頷けた。
私はこんなに美味しいものを口にしたことがなかったから。



『カイト…色々とすまない』
『いや…ハルトの頼みだからな。お前の為じゃない』
『兄さん!そんな言い方は駄目だよ!』
『そ、そう…だな?えっと…』
『良いんだハルト!私はカイトの"彼女"としての時間は短いのだから、もっとカイトと仲良くなれば…』
『ぶふぅ!?』
『汚いよ兄さん』
『す、すまない…じゃなくて、貴様!何時から俺の彼女になったんだ!』
『違うのか?』
『俺は告白した覚えもされた覚えもない!』

それは…つまり…?
ぎゅう、と胸が締め付けられる。

『か、カイトは…私を彼女と思ってない、と…?』
『あ、あああ当たり前だ!』


そんな全否定しなくても良いじゃないか…。
心臓が鷲掴みにされるような…そんな初めての感覚に戸惑う。
だが私はこれを"悲しい"んだと理解していた。
私は、カイトを…友だと…。


『っ、』
『え!名前!?』
『な、何故泣く!』

目が熱い。
気付いたら目から大量の水が溢れていた。
泣く、とは…これは涙かとそれを袖口で拭いながら理解した。


『ご、ごめんなさい、名前!僕の所為だよね!』
『ハルトの所為じゃ…』
『違うんだよ兄さん、僕が名前に嘘を教えたんだ!』

ごめんね、ごめんね、とハルトも涙を浮かべながら何故か私に謝っている。
私は訳が分からずハルトを見る。
カイトも困惑した顔でハルトを見つめていた。


『嘘?』
『だって、兄さん全然彼女とか居ないみたいだし…』
『は、ハルト…』
『名前可愛いし、綺麗だし、すっごく優しいし…』
『ハルト?』
『名前が兄さんと付き合ったら良いなって…』
『ハルト、私は話が見えないんだが』

とりあえず、私が褒められていると言うのは分かった(後ハルトに懐かれたのも)。
だがそれと"彼女"の因果関係が理解出来ない。
それと容姿は関係無…


『"彼女"って"友達"の事じゃないんだ』
『えっ』
『"恋人"の事なの』
『こいびと…?』

はて、待てよその単語は何処かで聞いたぞ。
確かベクターだったか。よからぬ事だった気がする。
確か、確か…?


「人間同士は繁殖するために交配するんです!それをセックスって言うんですけどーそれには決まりが有って恋人同士の男女しかできないんですーだぁーかぁーらぁー!良かれと思って名前さんと僕とで恋人になってェーよからぬ事をしようじゃねーかァー名前ちゃんよぉー!!脱げ!!」


ウケケ、とかなんとか変な高笑いしながら服を剥かれかけた時があったな。あれだ。
反吐が出る。
(真月からベクターに変わる様がまた不快だった)


『…私とカイトで子供を作るのか…』
『ブッ!?話ぶっとびすぎだ!落ち着け!!』
『そしたら僕の弟になるね』
『ならないよハルト!お兄ちゃんの子供だからハルトは叔父さんになるんだよ!…いや作らないからな子供は!』


最後はカイトも涙目だった。






―――――――――
天城家でご飯食べたいね。←

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