恋人はサンタクロース







小さい頃、蘭丸と二人で手紙を書いて枕元の靴下に入れた事がある。
"サンタさんへ"と書かれたその手紙は、翌日にはプレゼントと交換で無くなっていた。

蘭丸にゆすり起こされて気付いて、朝から二人で大騒ぎしたっけ。


そんな思い出も、今は昔。










『倉間はサンタさん何歳まで信じてた?』
『…小4』

ぶっきらぼうに答えた倉間は、大体そんくらいだろとそっぽを向いた。
私と蘭丸の話をしたら、霧野も可愛い時期が有ったんだなと笑う。


『蘭丸は今でも可愛いよ』
『…まぁ、確かにな』
『あ、怒られるから内緒ね』
『どーすっかなー』
『あ、酷い倉間!』

確かになって言ったから倉間だって同罪なんだからね。
ペチペチと倉間を叩いてたら、教室の入り口から私を呼ぶ声がした。
声の主は蘭丸で、委員会はどうやら終わったようだ。


『遅いー』
『ごめんって』
『…嘘だよ、お疲れ様』

椅子から立ち上がり、倉間にじゃあねと挨拶して蘭丸の元へ。
途中、倉間から呼び止められて振り返る。

『何?』
『お前は何時まで信じてた?』

これはアレかな。さっきの続き?

『今も信じてる』
『マジか』
『マジだ』

じゃあね、と今度は本当に最後の挨拶をして蘭丸の元へ。
何の話だ?と訝しげに見る彼に何でもないよと言って手を握ると、何か納得してない顔をしながらも歩き出した。










『寒いな』
『寒いね』
『イルミネーション奇麗だな』
『綺麗だね』
『倉間と何話してたんだ?』
『ヤキモチ?』
『そ、ヤキモチ』

何でもない声を出して、蘭丸はそう言った。
ただ、顔をちらりと覗いたら案外余裕では無いみたいで、面白くてつい知らないフリをする。
寒いなぁとまた呟いてみたら、蘭丸と繋がっている手を私の手ごと自分のポケットに突っ込んだ。

『寒いか?』
『温かい。ありがとう』
『ああ、』
『大好き』
『ぶっ、』

悪戯に笑えばコイツ、と頭を小突かれてしまった。あんまりからかって機嫌を損ねるのも困るので、そろそろやめてやろうかな。

『サンタさん、』
『は?』
『蘭丸は何歳まで信じてた?』

昔の話。
仲が良かった私のママと蘭丸のママは、イベント毎に家族でのお付き合いをしていた。
クリスマスだってそう。
仲良く寝る私たちを見て、きっとママ達は嬉しそうにプレゼントを置いた事だろう。


『さあな』
『つまんないの』
『居るって思えば居るんじゃないか、サンタ』
『そうだよね。私の枕元に今でもプレゼント来るし』
『…奇遇だな、俺もだ』
『何でか毎年ピンポイントで欲しいものなんだよねー』
『何でだろうなー俺もだよ』


ポケットの中で、指が絡まった。
何回目かな、今年も一緒に過ごせる事が幸せだ。


『いつか結婚指輪とか貰いそう』
『な、流石にそれは…!な、無いんじゃないかなぁ?』

真っ赤になった蘭丸が、からかうなと顔をそらす。


『だよね、それはサンタさんからのプロポーズになるよね』
『プロポーズとか…まだ早いだろ』
『私後二年で結婚出来る年だよ?』


からかうように言えば、はぁ、と重くため息を吐いた蘭丸が、


『少なくともあと四年は待ってくれ』

なんて言うもんだから。
おかしくて笑ってしまった。


私のサンタクロースが言うんだから、仕方ない。






end






お互いがお互いのサンタクロースになってるとかどうでしょうか^^←

saya様、リクエストありがとうございました!
お返事もありがとうございました。この場での返信で申し訳ありません。
これからもよろしくお願い致します。


犬猫


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