滝くんの受難2




『でね、そこで貴志部さんが…!』
『快彦君、おべんと付いてるよ』
『…!』

ひょい、パクッと俺の口の端に付いたご飯粒を、名前ちゃんはふふっと笑い当たり前みたいに食べた。
瞬間胸がぎゅうぅぅってなって、顔が熱くなる。


『あ、あの…』

ありがとう、
尻すぼみになりながら言うと彼女はまた柔らかく笑った。


『そんなに急いで話さなくても、私は逃げないよ』
『え、あ、ごめん!俺ばっかり!』
『ううん、快彦君の話、もっと聞きたいな』
『え、』
『サッカー部の話も…出来れば、快彦君の自身の話も…』
『名前ちゃん…』






 :
 :


うるり、と瞳を潤ませてうんって頷く快彦君。
同じ年なのに、彼は少し幼くて素直で可愛らしい。

この間の告白が(多少問題が生じたけど)上手くいって良かった。
この通り、私たちはらぶらぶである。


何故か快彦君はお兄さん宛の手紙と勘違いしたらしくて(まさかあの滝総介と兄弟だったなんて)、泣きながら支離滅裂に説明を受けて焦った。
おかしいな、文章読めば本人宛だって分かるはずなんだけどな…まぁ快彦君の事だ。総介さんに引ったくられて取り返せなかったとかだろう。(以前クラスで同じようにからかわれてた事があった。)
ぴょんぴょん跳ねて飛びついたんだろう。
奪い取れなくて、泣いてしまったんだ。
兄さんなんか嫌いだぁとか何とか捨てぜりふを吐いて部屋を飛び出したんだ絶対。


そんな快彦君が可愛いよぉぉっ…!!

因みに言うが変態では無い。
私は可愛い快彦君が好きなだけだ純粋に。



『あ、そうだ。ポッキーあるんだけど食べない?』
『名前ちゃんいけないんだーお菓子持ってきてー』
『じゃあ要らない?』
『いるー』

いたずらっ子みたいに笑って頬を染める快彦君。
はい、あーん。って一本差し出したら恥ずかしそうにしながら口を開けた。
怖ず怖ずと咥える快彦君がちら、っと私と見上げて。
瞬間、眼があった。

は、反対側…咥えたい…っ!!

そんな衝動に駆られたけれど何とか耐えて微笑む。
かぁいいなぁ快彦君。
見てるだけでにやけちゃうよー…あれ、私ちゃんと微笑み、で留まってる?ニヤニヤしすぎてないよね??
ちらっと快彦君を伺う。
彼は不思議そうな顔をしてコテンと首を傾げた。


うぐはぁ…っ!!
鼻血が…鼻血がでちゃうっ!!
そんなの反則だよぉっ!!


もう一度言うけど、私は変態ではない。
ただ純粋に、快彦君が好きなだけだ。


『名前ちゃん?』
『な、なぁに?』

てゆーかこの間まで「苗字さん」だったのに、付き合い始めたら「名前ちゃん」になった。
これは普通の事だ。
だから私も呼び方を「快彦君」にかえたんだけど…。

「名前ちゃんって…呼んでも良い?」
「もちろん!」
「でね、あのさ…俺のことも、その…」
「?」
「な、名前で呼んでほしいんだ…だ、駄目か、な…?」
「い、いいの?」
「もちろん!」
「じゃあ快彦君って呼ぶね、」
「うんっ」


あのときの笑顔ったら、無い。
おまけに、

「滝君、だと兄さ…兄貴とも被るからさ」


兄さんをわざわざ言い直す。
しかも"兄貴"って…。

も、萌え殺す気かぁぁあっ!!
と叫びそうになった。あ、やばい思い出し鼻血しそう…。
(これは快彦君なりの背伸びなんだろうか)


しつこいようだが私は変態ではない。
ただ純粋に、快彦君が好きなだけだ純粋に快彦君が好きなだけだ大事なので二回言いました!!


『名前ちゃん?』
『え、あ、何?』
『聞いてる?』
『あ、ごめん可愛くてつい』
『え?』

やべ、つい本音がポロリ。
だってポリポリとポッキー食べながら何故か口の端にチョコが!
(な、何でそんなところに!)
な、舐めたい…!もう変態でも良いからそれ舐めたい!


『名前ちゃん?』
『は、はい!』
『…話、つまんない?』


ごめんね、ってショボンとする快彦君に私の理性はギリギリでした。
涎出そう。
やばい可愛すぎる!

周りを見たら教室に居る生徒は疎らでみんなそれぞれ友達と談笑してた。
そしてクイクイと私の袖を引っ張る快彦君に、儚く脆い私の理性はパッチーンと音を立てて切れました。

可愛すぎる快彦君が悪い。
可愛すぎる快彦君が悪いんだからね!


『そんなこと無いよ、』
『でも、』
『だって快彦君、口にチョコ付けてるんだもん…可愛くて、つい』
『っ!』

ぺろ、口の端のチョコを舐めたらビックリした快彦君は真っ赤になって俯いた。

はぅ〜かぁいいよぉ〜!
と満足してるのは良いけど、これって引かれたんじゃないか?と頭が一瞬にして冷静になった。畜生、もっと余韻に浸りたかった!とか言ってる場合じゃない。

『あ…快彦、君…ごめ、』

んぅ、
快彦君が顔を上げたかと思ったら引っ張られて口を塞がれた。
てゆーかガチンと歯が当たった。
痛い。

しまった、と眉を顰める快彦君はぱっと離れて真っ赤になって涙目だ。



『か、可愛いのは…名前ちゃんだから』


絞り出すように出された声に、私の心臓が持って行かれたのは言うまでもない。







end




よしひこよしひこよしひこはぁはぁ!
かぁいいよよしひこぉぉおっ(*´∞`*)

滝兄弟かわいいですよね!
a:m

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