episode:05
強くならなきゃ…そう思うでしょ?
放課後、更衣室にて。 着替えながら彼女について話していた。
『なかなかすごいみたいですよ、吉良名前』 『へぇ、』 『まさか基山ヒロトの妹だとは思わなかったけどね〜』 『いやいやそれほどでも』 『僕、もっとお話聞きたいです!』 『信助、そんなに慌てなくても時間はたっぷり有るんだから!』 『そうだよ西園君、私は逃げないよ』 『ほら、名前先輩だってそう言ってるし!』 『そうだね!』 『…ん?』 『名前…?』 『所で、神童君私のユニフォームは何処かな』 『‥‥』 『……』 『…、う、うわぁあああっ!』
なぜか彼女は、優雅にベンチに腰掛けてました。
▼
『名前何で居るんだ!』 『ユニフォームを貰いに来たんだよ』 『しれっと言うな!』 『神童君何で胸隠すの?…もしかして実は女の子?』 『違う!』 『お前恥じらいとかねーのかよ…』
呆れたように、倉間は上半身裸のまま彼女に言った。彼女はキョトンとして首を傾げる。
『倉間君色黒だね』 『ほっとけよ』 『しかし良い体躯だ…余分な筋肉も無い感じで』 『…っ、何…!』
ぺたりと倉間の胸に真っ白な手を添えた。 する、となぞる手のひらは確かめるみたいに動いていて。 倉間は真っ赤にしながら彼女を見た。 その揺れる隻眼を見つめ、彼女は問う。
『でも足りない、そう感じてる…?』 『…は?』 『強くなりたいって…もっと、あの人みたいになりたいって…』 『何、言って…』 『強くならなきゃ…そう思うでしょ?』 『…』
ぱっと彼女が倉間から離れた。 倉間は一瞬何が有ったのか分からずぼーっとして、三国さんに呼ばれて我に返る。
『で、私のユニフォームは?』
出来れば18番が良いな! と、彼女はいつも通り、笑った。
▼
『必殺技、禁止?』 『主にシュート技…特に流星ブレードの使用を禁止する』 『なんで…!?』
迫ればキッと睨まれた。 鬼道君は相変わらず、厳しいらしい。
アップと一通りの練習が終われば、それぞれ個人技の練習に入る。 シュートの禁止をされた私は、円堂君に言われてGKに入り、松風君達1年生のシュート練習に入った。
『よろしくお願いします!』 『お願いします!』 『お願いします…』
礼儀正しく頭を下げられてこっちも頭を下げる。年上を敬う心得がある所は関心だね。 屈伸をする松風君、剣城君、影山君。 みんな雷門の期待の新人ストライカー、らしい。
因みに私はと言うと、キーパー技は使用許可を得た。
『私動かないから、頑張って入れてみて』
ぴくん、剣城君の眉根に皺が寄った。 さて、お兄ちゃん達が贔屓する雷門中がどんなものか…お手並み拝見といこうかな。
: ・
『休憩する?』 『まだまだ!』 『行けます!』
松風君も影山君も、頑張るなぁと迫るボールに向けて右手を翳した。 吸い込まれたボールは音を立てて左側に埋まる。
『また取られちゃった!』 『すごいです! 名前先輩!本当にキーパーじゃないんですか?』 『うん、どっちかって言ったらGKよりFW』 『すげぇえぇえ!』
ぴょんぴょん跳ねながら感動する二人に対し、剣城君は一人、悔しそうで。
『行きます…』 『うん!』
剣城君が構えると背中から青黒い"何か"が現れた。 なるほど、これが。
『化身か…!』 『つ、剣城!?』 『剣城!化身はマズいよ!』
止めようとする二人に構わず剣城君は構えた。 ちら、と円堂君を見る。 彼はじっと私を見ていた。
(いいよ、魅せてあげる。) (私がどれだけ、成長したか。)
『…時よ止まれ…』
"時空の壁"
前に翳した右手はボールをとらえた、けれど。 力に押され、軌道が歪んだボールはネットに突き刺さる。
『なっ…』
手が、腕が、ビリビリと痺れる。 嘗てジェネシスのキーパーだった、あのネロ兄さん直々に教えてもらったこの技を…、
『アッサリ破った、なんて…』
これが化身の力、か。 胸がウズウズする。 魔神や魔王とは比べられない力…化身、か。
『すごいじゃないか!剣城君!』 『…そりゃどーも』 『今のが化身だね?凄い…まだ手が痺れてる…』
入ったのに気に入らなかったらしい剣城君は、少し不機嫌そうに言った。
『アンタも本気を出せよ』 『嫌だな本気だよ。言っただろ、私は…』
は、と気づいた。 私は普段、GKではないFWだ。 ならば、FWなりの返し方がある、そーゆー事か。
『良いだろう』 『…?』 『もう一度来い…そんなボール跳ね返してやる』
next
vs剣城戦
使用技>>ワームホール→時空の壁
普段はヒロト、本気にサッカーの時は玲名 みたいな口調になるよ。
って、設定(´・ω・`)
[戻る] [進む]
|