episode:10







『神童君、霧野君、お昼一緒してもいいかな?』
『ああ』
『ありがとう!』

名前もだいぶ、雷門に馴染んできた様に思う。







『うわ、美味そうだな名前のお弁当』
『晴矢が毎日作ってくれるんだ』
『晴矢?』

ニコニコして言う名前は卵焼きを摘んで口へ運ぶ。
瞬間幸せそうに眼を細めた。

『晴矢、って…?』
『一緒に住んでるお兄ちゃん』

明らかに男だよな、と名前を聞いて思ったら本当に男だった。
しかし、こんなに美味そうなお弁当を作ってるのが男の人だなんて。
神童と二人で見とれてたら、ん?と神童が唸った。

『名前はお兄さんと三人暮らしなのか?』
『え?晴矢と二人だけど…』
『…今朝言ってた"バーン"って人は?』
『ぅぐっ、』

何となく疑問に思って、何となく聞いてみた。神童はたぶんそれだけ。
しかし名前は予想外だったのか、咽せて慌ててお茶を飲んだ。
ようやく落ち着いた時には涙目で、神童はいけないことを聞いたかと焦って俺を見る。

『ぷ、は…ご、ごめん神童君…』
『コラ何笑ってんだ名前』
『?』

突然笑い出した名前に神童はついていけず、どうしたら良いのかと首を傾げる。
名前はヒィヒィ言いながら笑っていたが、暫くして落ち着いたのかあのね、と口を開いた。

『バーンは晴矢の…なんて言うかアダナ?みたいなもの』
『はぁ、』
『アダナ?』
『そーそー。だから、バーンと晴矢は同一人物だよ』

ごめんねややこしくて、と名前はクスクス笑った。
アダナでこんなに笑う名前が分からないが、笑えるようなエピソードが有るんだろうか。


『名前は面白いな』

俺がそう言ったら、彼女は当たり障りのない笑顔で笑った。










 ▼

放課後、それぞれ皆が自主練をする中、私は西園君にジャンプの仕方を教えていた。


『違う違う、西園君…飛ぶときはこう、勢いを付けてさ』
『う、わぁあ!名前先輩高い!!』


まぁ、私もバーンのウケウリ何だけどね。
その辺にいた人を避けながらゴールを目指す。
何かみんながポカンとしてるけど気にせずゴールに向けて蹴った。


『すっっっごーい!』
『うん?』
『地上より空中に居る方が遙かに長かったですよ!ジャンプも高いし!』

目をキラキラと輝かせる西園君にありがとうと言って。
いやちがうでしょ君のジャンプの練習じゃないか、とツッコミを入れた。
ちなみにこのツッコミスキルもバーンからのウケウリだったりする。


『このくらいジャンプ出来たらいいけど、君の場合はまだ成長途中だからこの高さを飛ぶなら1、2回が限度かな』

よしよしと頭を撫でて言うと、彼は少ししょんぼりとした。
余程ジャンプに自信を持っていたらしい。

『特訓すれば、名前先輩みたいに出来るかな…?』

何て健気な一年生なんだ。
何処かの誰かも見習って欲しいもんだ。


『地球にはこんな言葉がある』
『え?』
『"千里の行も足下に始まる"日々鍛錬を怠らない事が大切だよ』
『?』
『君は今がスタートラインだってこと』

だからこれから頑張った分だけ、強くなれる。
特に西園君は努力して強くなってくタイプみたいだからね。

『へぇ?良いこというじゃねーか』
『どーも、霧野君』




まぁ、これもリュウジのウケウリだけどね。




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エイリア名はポロリと日常で出てしまう時もあるよって事で本名だったりエイリア名だったりと安定してません読みにくくてすみません(つд`)汗

今更だけど、ヒロインは兄達の影響を受けすぎだとry
諺使いたくて考えたんだけど、なんか的外れ感が否めませんorz
いざ使うとなると難しいですね。


犬猫

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