episode:09






『名前とは、変わらず接してくれ』
『言っておくが、身体能力が優れていると言う点を除けば、名前も普通の女の子と変わりない』
『…少し、常識面に欠けるがな…』

あぁ、と俺たちがうなだれた昨日の部活後。

接し方を変えようとは思わないが、アレ(下着姿で歩くとか、着替え中に入ってくるとか)は何とかしなければと、皆が思った。








『名前、それは何処のユニフォームだ』

黄色地に青の袖。
胸には漢字で「雷門」と書かれていた。


『10年前の雷門のユニフォーム』
『何で!?』

俺はどうも、名前が分からない。


『バーンが間違えてユニフォーム乾かし損ねたの。そしたらバーンが昔のユニフォーム貸してくれるって言うんだけどプロミネンスとかカオスとか何かいかにもっぽくてねー…しかもタンス臭いし。だから仕方なく自分のクローゼット漁ってたら色々出てきたからとりあえず旧だけど雷門だしと思ってコレ着てきたんだけど何か問題あるかな?』
『…えーと、とりあえず問題大ありだ』


大半何言ってるのか分からなかったけど、名前は旧雷門のユニフォームを見て首を傾げた。


『しかも10番って、』
『うん、豪炎寺君のだよ』
『それホンモノか!?』
『ホンモノだよ?本人からもらったんだし…』

靴下もお揃いの買って貰ったんだーと、まるでそれがあたりまえみたいにそのオレンジ色のソックスを見せて言った。

ちょっと剣城がウズウズしてる気がする。


『本人からか…?』
『修也お兄ちゃん頂戴って言ったらくれたよ?』
『それは豪炎寺さんのイメージに関わるから言わない方がいいんじゃないか…?』
『やだな神童君!雷門の豪炎寺、鬼道と言えば兄バカV3で有名だよ!』
『兄バカ…』

ケタケタと笑う名前に悪気は無いと思う。だが確実に、今、俺達の中の鬼道コーチのイメージは変わってしまった。


『何をしている』
『あ、鬼道コーチ』

ガタガタとイメージが崩れる中、現れたのは本人だった。
全員がいえ、と口を噤む中、名前は悪びれもせず、


『鬼道君が兄バカだねって話だよ』

と、話した。
ピクンとコーチの眉根が寄る。

『ちょ、名前っ』
『名前、お前ユニフォームはどうした』
『バーンが乾かし損ねた。エイリアのユニフォームよりコレがマシだと思ったからこれにしました』
『…仕方ないな、』

今後は気をつけるように、と何故今ので伝わるのか。

『しかしなぜ10なんだ無難に14とかだな』
『…何よ無難って。何気に自分の番号を勧めないでよ鬼道コーチ』

名前が苦笑いしながらそう言ったら、コーチは複雑そうに笑んだ。







 ▼


『マタドールフェイント!』


スペイン闘牛の牛の様に、錦が名前に突っ込んでいった。


『錦!』
『す、すまん!』
『錦君単純ー』

ポンポンとボールを蹴り上げながら名前が微笑んだ。
錦は悔しそうにして名前を見る。


『分かっていても、突っ込んでしまうぜよ』
『まぁ仕方ないよねそーゆー技だからさ』
『ぬぐ…っ』
『じゃ、ゴールいただくね!』
『あっ!?』


名前は可愛く可愛く笑って走った。
一瞬見とれてしまった俺達は。


『錦!神童!紅白戦中だぞ!』


名前に見とれてんじゃねーよ!と瀬戸に怒鳴られて我に返る。


『倉間君!』
『オウ!』

綺麗に繋がった倉間へのパスは、そのままゴールへと突き刺さった。

今日の掃除は赤チーム決定だな!
二人はハイタッチを交わして笑った。








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倉間と仲良い←
マタドールフェイントはウルビダちゃんが使うので(´д`)



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