本能とは。

生まれつきその生き物に備わってる行動である。
後天的にできるようになるものは学習である。
つまりは睡眠や食事は基本学習せずにでもできる、本能と言えるだろう。
睡眠、食事ときたらもう一つの三大欲求の性欲はどうか?

性欲自体は本能であると私は思うけど性交は人間の場合、学校等で学習するして覚えることだと思うので本能かと問われたらどちらかは悩む。

人類、いや生物全ての課題は子孫繁栄である。

動物には強い生き物をパートナーに選ぶ傾向があるがそれはきっと本能だろう。
本能的に強い者がより良い子孫を残せると知っているからだろう。
人間はどうか?人間は経済力、学歴などで判断する。
それは本能と呼べるのか?周りを見たり世間一般的な論をみての選択、つまりは学習ではないのか?
そもそも現代の人間には強い子孫を残すためなんて考えはほとんどの人が持ち合わせていないだろう。

本能とは、つまり何も考えずに行動することが本能なのかも知れない。





「綺麗なピンクだなぁ」

指先に摘まれているのは透明な薄ピンクの玉。
それは体温で溶けてほんの少しだけ少しベタッと指先を汚した。

薄ピンクの玉、基キャンディを自らの口の中に放り込む。
舌の上で転がすと酸味と甘みが味覚を刺激した。
苺味だ。
苺は好きだ。あの甘みがなんとも美味であるから。

飴玉が好きな味で少しだけ嬉しくなって上機嫌で鼻歌を歌う。

「ふふふふふーんふふー」

とある任務の途中、小腹が好いたので食べ物を探しに立ち寄った店に置いてあったキャンディ。
それは店のオリジナルらしく他の店にはないというので購入したのだ。
期間限定とかオリジナルとか気になってしまうのは人間の性だと思う。
知らないものを知りたいと思うのは何一つ不思議じゃない。
所謂、探究心というのは本能の一つだと私は思う。

舐めてた飴玉をガリガリッと音を立てて噛み砕き任務に戻ろう、そう思ったときに自分の体に異変があることに気が付いた。
歩き出そうとした時、ぶるりと体を震えた。
なんだろう…息も荒い。
熱でも出たのか…くらくらする。

「ゲッ…図書館の…」

「貴方はラグナ=ザ=ブラッ…」

前方に銀色の髪に赤と黒の服。SS級犯罪者を偶然見つけてしまった。
名前を呼ぼうとした瞬間、彼の顔を見てなんとも言えぬ感情が沸いてきた。
なんだこの感情は…。心臓がどきどきする。

「ひ、ぁ…」

端正な顔立ち、男らしいきりりとした瞳、服の上からでもわかる体格の良い体。
そして…あふれ出るフェロモンのような何か…。

「ひゃああああああ!!!」

「おっ、おい!」

耳を塞いで相手から顔を背けるようにしゃがみ込む。
私のその奇行を見てラグナ=ザ=ブラッドエッジは驚きの声を上げた。

なんて破廉恥なことを思ってるの私!相手は死神。
そんな感情抱くわけない。そうおもって相手の顔を再度見る。

「ふぎゃあああああ!!!」

ラグナ=ザ=ブラッドエッジの顔を見ているとむずむずしてしまいこの場から逃げるように走り去った。
去り際に相手の顔を見る余裕はなかったからわからないけどきっと彼は呆けた顔をしているだろうな。



「ぁぐあ…ふぎぃ…」

逃げてきたは良いけど呼吸が整わない。
走ったからか?むしろ走ったときよりさらに呼吸が荒くなっている気がする。
下半身も何かむずむず…する。
た、たぶん私は今興奮…しているのだろう。

何故、どうして。こうなった経緯を考えていたら一つ思い当たる節が浮かんだ。
先ほど買ったキャンディの袋を取り出して説明をよく読んでみた。

「えぇー…と、このキャンディは、本能キャン、ディです…?」

荒い息で文章を読み上げる。
本能キャンディ?つまりは本能を呼び起こすキャンディってことか。
誰が何のために…製作元に目を通す。

ココノエ?

…あの人なら納得だ。

しかしどうしよう。
先ほどの私からするにたぶん呼び起こした本能とは…性欲だろう。それと…一目惚れ?
このままではたぶん痴女のような行動をしてしまうのだろうか。

それはさすがにまずい!

効果が収まるまで何処かで一人、ひっそりと隠れていよう…。
任務なんて知ったことか。道行く人を犯してしまいそうな状況でそんなものできるわけない。

隠れる場所を探そうと人気のない場所を探そうとしたその時。

「おやぁ、ナマエではありませんか?」

「ははははははは…ハザマ大尉ぃいい!!!」

驚いて振り向いた。
それは失敗だったかもしれない。
なぜなら…。

「顔が赤いですねどうか…ぎょぇ!?」

「ごごごめんなさい!!!」

彼の顔をみて体が勝手に動いてしまった。
私の下にはハザマ大尉がいる。
つまりは、私はハザマ大尉を押し倒しているのだ。
理性なんていうものはもうぶっ飛んでしまったらしい。
ハァハァと息を乱しながら彼の上に跨る痴女は私です、はい。
そんな状況でもハザマ大尉は口角を上げていつものように飄々としていた。

「これはまぁ…」

何か思ってるみたいだけど私には関係ない。
とにかくこの状況をどうにかしたいのだ。

彼の服を脱がそうと手にかけた時、制服のリボンをぐいと引っ張られた。
そのせいで至近距離に彼の端正な顔が近くにあった。
でもその顔はいつものような細く閉じられた目はなくて代わりにぎらぎらと光る金色の目玉が私を面白そうに睨み付けていた。

「上等じゃねぇかナマエちゃんよぉ…とんだ痴女だなァ」

こんなこと俺様に仕掛けたんだ。覚悟はできてるだろうな。
耳元で囁かれ背筋がぞくぞくした。

きゅんきゅんと反応する下腹部にこんなの私じゃない飴玉のせいだと言い聞かせて彼の唇にしゃぶりついた。

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20140528
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