拝啓、親愛なるハザマさんへ。

恥の多い生涯を送ってきました。
有名な文学小説の出だしですね。私ってば賢い!褒めてくれても良いんですよハザマさん!
むしろ崇めてくれても構いません!

おふざけはここまでにして本題へ参ります。
私は本当に恥の多い生涯を送ってきました。
家族とは少しだけ上手くやっていけてなくて、周囲の人々の環境に馴染めなくて世界の全てが憎くて仕方ありませんでした。

手紙を書くに当たって自身を振り替えって今までの至らなさ自覚しました。
バカでどうしようもなくて、失敗ばかりで、毎日が死にたくて何もかもが嫌いで。
機関学校に入りたかったのに入れなかった自分の才能と、地位を恨んでいました。

何もかも嫌いだった。嫌いと嫌いが嫌いで嫌いの嫌いへ嫌いな嫌いは嫌い嫌いを嫌い、嫌い!嫌い!嫌い!嫌い!

嫌いのゲシュタルト崩壊しそう。あっ、これちなみに私の好きな小説から!ハザマさんにもオススメしたいけれどきっとハザマさんはヒステリックな女の子だと一蹴するんだろうなぁ。それとも女の子達の不幸を嘲笑するのかな?

読むに値しなくてごめんなさい。それでも貴方には最後まで読んでほしいのです。

まぁ、そんな毎日に何気なく訪れたのが貴方でした。

貴方は立場上から諜報のお仕事できっといらしたのでしょう。
何もかもが嫌いで見たくなくて引きこもっていた私の部屋のドアを叩いたのが貴方でした。

貴方のお姿を見て心が奪われるようでした。
鮮やかな碧い綺麗な髪の色に、端正なお顔立ちで、私は恋に落ちました。

正直そのときに聞かれたことはほとんど覚えてないんです。ごめんなさい。

それからというもの、私は貴方のことを思い勉強を、仕事を、美容を……自分が出来そうなことは片っ端から挑んで続けて随分と成長できました。これも貴方のお陰です!ありがとうございます!ハザマさん!

振り向きてほしくて今はこーんなにまで上り詰めたけど、貴方は中々私のものにはなってくれはしませんでした。

きっと頭の良いハザマさんはここまで来るとこの手紙が何か分かってるのでしょう。
いえ、もう飽きて読んでないのかな。それはそれで悲しいけれど、まぁいっか。
これは私がけじめをつけるための自己満足です。
付き合わせてごめんなさい。

ずっと貴方と一緒にいたかったけれどそろそろ何処か遠くへ行こうと思います。
きっと私はこのままじゃ何処にも行けなくて貴方に魅了されたまま。迷える子羊なんです。
私は羊じゃないけども。

というわけでサヨナラですハザマさん。
貴方が大好きでした。私の全てでした。
日常に彩りをくれて、夢中にさせてくれて、嫌なことから目をそらさせてくれて、本当にありがとうございました。

ナマエより。

2017/09/12
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