たんたん、たんたん、指を動かして文字を打っていく。

これは最近普及されている携帯端末。スマートフォンと呼べるものだ。
これ一つあれば一日中時間を潰せる。
SNSにゲーム、ネットサーフィン。現代人は皆これに夢中だろう。私もそんな人間の一人だ。

そうやって私は外でも室内でもスマホを手放せずに居る。これはもはや中毒と言っても良いだろう。
アオッターは楽しい。くだらない情報も有益な情報も洪水のように流れてくる。
絵をアップしたり、ゲームの経過や成長をアップするわけでもなく、ただそのSNSで繋がっていた人との会話に夢中になっていたらパッと視界から液晶が消えた。

液晶の光に慣れた目には当たり前の物質の風景が逆に不馴れになってしまったようだ。
これはこれで新鮮だ。

「またこんなものに夢中になって……」

ソファで寝転びスマホを弄っていた私からそれを取り上げた犯人がため息をついていた。

「緑色は目に優しいなぁ」
「はい?」

緑、そう目に優しい色である。学校の黒板なんかも長時間見ることになるのが多いため緑色を使用しているらしい。

「黒板って元々は本当に黒かったらしいね。文字通りの黒い板」
「そうらしいですねぇ。もしかして今私の髪の毛を見ながらそんな連想ゲームなさってるんです?」
「ざっつらいと」
「発音がダメですね。That's right ですよ」
「ざっつらいとぅ」
「さっきと然程変わってませんって。とにかく!こんなものはダメです。ほらほら仕事から帰ってきた恋人を労ってくださいよぅ」
「うぃー」

2017/09/09
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