プレゼントD

携帯の電源を切り、俺は布団に潜り込んだ。今はただ、寝たかった。眠ってしまえば智久の事を考えなくても済むから、だから早く眠りたかった。

あれから何時間が経ったのだろうか。真っ暗闇の部屋で目が覚めた俺は、時間を確かめようと携帯を開いた。
しかし携帯画面は真っ暗なままで、電源が入っていない事を俺に知らせる。
あぁ、そうだった。智久と別れたんだっけ……。覚醒した頭に浮かんだ事実に、俺は嗚咽を押さえられなかった。
「……とも…さ、好…だ……」
泣きじゃくりながら、ひたすら智久の名前を呼ぶ。と、突然部屋の明かりが灯り、俺は眩しさに目を閉じた。
「そんなに泣くくらいなら、別れるとか言うんじゃねぇよ……」
目を閉じている俺の耳に、智久の怒っているような声が聞こえた。
「と……も、ひさ?」
驚愕に目を見開くと、部屋の入り口の所に智久が立っていた。
「え?何、で……」
しどろもどろに問い掛けると、軽く頭を叩かれて、それから抱き締められた。
「別れるとか言うなよ。昭彦、好きなんだ。俺から離れないでくれ……」
好き?今、好きって言ったのか?だって、違うじゃん。お前が好きなのは……。
「理彩ちゃんは?お前が好きなのは……理彩ちゃんだろ……?」
「昭彦、まさかとは思うけど、別れる理由はそれか?」
智久に尋ねられ、小さく頷く。すると、大きな溜息を吐かれた。
「理彩ちゃんは何でもないの!ずっと前の合コンの時に、友達に合わせて可愛いって騒いでだけだ!それに……」
「……それに?」
「俺は、ずっと前から、お前の事が好きなんだ」
強く抱き締めてくれる腕が、これは冗談なんかじゃないんだと告げていて。サンタさん、ありがとう。最高のプレゼントだ。
一足早いクリスマスプレゼントに感謝しつつ、智久の胸に頬を寄せる。
抱き締めてくれる智久の腕は、とても暖かかった。
ずっとずっと好きだったんだ。これからも、ずっとずっと好きでいるから。 だから、ずっと俺のそばに居てください。
智久、俺を選んでくれてありがとう。俺は世界一の幸せ者だ。



★あとがき★
2009年のクリスマス記念。なんとかクリスマスに間に合って良かった。
感想くれると嬉しいです(*´∀`)


2009/12/24



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