プレゼント@

「別れてくれないか?」
ずっと、ずっと好きだった。誰よりも、お前の事だけを想ってるから……。
「友達だった頃に、戻りたいんだ……」
大好きなお前が恋人になってから、初めて迎えるクリスマス。これが、俺からお前への一番のプレゼントだと思うんだ。
「今までありがとう」
付き合ってくれて、ありがとう。本当に楽しかったよ。
「……さよなら」
凄く大切で大好きだから、今日でお前を解放してあげる。


プレゼント




「昭彦、起きなさい!早くご飯食べて準備しないと、智久くん来ちゃうわよ」
母親に急かされ、寒さを堪えて布団から身体を起こす。
俺の名前は須藤昭彦(すどう あきひこ)、高校一年生。そして、智久(ともひさ)っていうのは、小学校からの腐れ縁の友達だ。
智久と俺は、ガキの時からの付き合いで、いつも一緒につるんでいた。たまたま高校も同じだったせいもあり、今でも一番仲の良い友達なのだ。
と言っても、俺は中学の時から智久に友情以上の感情を抱くようになってしまっていたから、本当の友達とは言い難いかもしれないけれど……。

「昭彦、学校行くぞー」
ピンポンと鳴るドアチャイムの音と同時に、智久の大きな声が我が家に響く。
朝が苦手な俺を迎えに智久が毎朝我が家へやって来ては、二人で登校する事が日常となっているからだ。
「悪い、今行く!」
慌てて身支度を整えた俺は、パンを牛乳で流し込むように朝食を済ませた。
「おはよっ」
「おはよう」
バタバタと騒がしい音をたてながら玄関へと姿を現した俺に、智久は苦笑いを浮かべて出迎える。
「昭彦さ、いい加減に髪整える時間くらいは作れるように起きたらどう?」
そう言って、寝癖のついた俺の髪を笑うのもいつもの事だ。
「智久が直してくれるんだから、わざわざ早起きして自分で直す必要ないじゃん?」
そう、俺の寝癖を直すのは智久の仕事。学校に着いたら教室より先にトイレに直行して、智久が整えてくれる。
中学の時から続いているこの日課は、高校生になった今でも続いていて。智久に髪を撫でられる気持ち良さに、俺は甘えてしまっている。

「俺はお前のママじゃないんだけどな」
そんな文句を言いながらも、智久も本気で嫌がっているわけでは無いらしく、今日も学校のトイレで俺の髪を梳かしてくれる。そんな優しさが好きなんだ。
「母親っつうより、恋人みたいじゃね?」
何の気なしに口から出た俺の言葉に、智久の手が止まる。やばいな、ちょっと調子に乗りすぎたかと智久の表情を鏡越しに覗くと、何故か智久は真剣な表情でこちらを見ていた。
「智久?」
どうしてそんな顔でこちらを見つめるのか、何故悪い冗談だと笑い飛ばさないのか、全く理解できなくて困惑していると、智久に個室に連れ込まれた。
「なぁ、昭彦」
「何?」
「みたい、じゃなくてさ。本物の恋人になりたいっつったら、お前どうする?」



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