求愛以上、告白未満B(※)

無言で手を繋いだまま帰路に着いた靖貴と正和は、やはり無言のまま当然の事のように靖貴の自宅へと入っていった。
昔から仕事で留守がちな靖貴の両親は今日も家に居ない様で、真っ暗な家の明かりも灯けないまま、玄関を入った二人は性急に唇を貪り合った。

好きだと、そう告げたいのに。身体が急いて言葉にならない。
「部屋、行こ…」
やっとの事でそれだけを告げた靖貴は、名残惜しそうに何度か唇を啄むと、正和の手を引いて部屋へと急いだ。

カチャ…

部屋の中に入った途端、ベッドに寝かされキスをされて。舌を絡めれば絡める程、唇から全身に熱い痺れが広がっていった。
「…タ、カ…ん…」
熱い。身体が熱くて堪らないんだ…。
熱に浮かされ思考が揺らいでいる正和は何故キスをしているのかすら考えられないまま、熱くたかぶった身体を持て余し靖貴の首へと腕を回し抱き縋った。

「……まぁちゃん、興奮してるん?」
「や…、違…っ…ぁあ…」
不意に靖貴の手がズボン越しに股間を撫でてきて、身体に電流が流れたように正和の身体がビクンと跳ねる。
「離、せ…んぁあ」
腰の疼きが止まらない。熱くて苦しくて、離せと言いながらも、自然と自分から靖貴の手に股間を擦り付けていた。

「可愛いなぁ、まぁちゃん…」
正和の上気した顔に気をよくした靖貴の手によって服を脱がされて、夜の冷たい外気に晒された肌が粟立つ。
「…ぁ…タカ、タカぁ…」
快感に冒された頭では何にも考えられなくて、自分からも靖貴のズボンに手を伸ばすと、おぼつかない手つきで衣服を脱がし靖貴の股間に指を這わせた。

「…っ…まぁちゃん…気持ちえぇよ…」
熱く猛る靖貴の自身に指を絡めると、指から熱が伝わってきて。

熱い…。
タカも、感じてるんだ…。
その事実が嬉しくて、靖貴の手に自身を擦り付けながらも、俺は必死で指を動かした。

「はぁ…ぁ…」
「…んぅ…ぁあ…っ」
互いの漏らす吐息が静かな部屋に響く。熱い吐息にさえ身体は敏感に反応して、先走りが指を濡らしていく。
舌を深く絡め口付けながら、やがて二つの自身を擦り合わせるように二人は掌を重ね合わせた。
「…も、イク…っ」
「やぁああ…っ…」
狂ったように腰を振って互いを擦り合わせていた二人は、ほぼ同時に絶頂を迎えた。

はぁはぁと荒い息を吐きながら、余韻に浮かされた二人は何度もキスを繰り返し。
何故キスをしたのか。何故、靖貴は自分と身体を重ね合わせたのか。
それすら分からないまま、正和は深い眠りに落ちていった…。




2009/8/5




目次へ戻る

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -