かぼちゃ日和


「トリック オア トリート!お菓子くれんと悪戯するよー」
開口一番に靖貴が言った。
「はい、お菓子」
待ってましたとばかりにお菓子を差し出す俺に、靖貴はまるで鳩が豆鉄砲食らったみたいに間抜け面になってしまって、ついつい俺はしてやったりと満足気な笑みが顔に浮かぶ。
「えー…なんでお菓子用意してるん……」
「何となく?」
「何となく!何となくで男のロマンを壊すんか、まあちゃんは!!」
「何だよ男のロマンって……」
まぁ、言いたい事も分からなくは無いけど。お菓子無いのを理由に悪戯したかったんだよな?って、どんなエロゲーだよ。
あぁ、なんだか最近の靖貴の馬鹿さ加減には本当に頭が痛くなる。

って、俺も相当な馬鹿だけどな。
だって……。
「タカ、トリック オア トリート」
「……へ?」
「だからぁ。トリック オア トリート」
「えっと……何も用意しとらんよ」
だろうな。俺に悪戯する事ばっか考えて、まさか俺がお菓子をねだる事なんか考えてもいなかったんだろう。
「お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうぞ」
にっこり微笑んで靖貴を押し倒した俺は、奴の目にどう映ったんだろう。
「……まあちゃんの背中に、黒い羽が見える」
そう呟いた靖貴は、身体を反転させて俺を押し倒すように上に跨がった。
「黒い羽か。ハロウィンにピッタリだな」
「そやね」
クスクスと二人でひとしきり笑った後、俺たちはゆっくりと唇を重ね合わせた。
ハロウィンの夜は、まだ始まったばかりだ。



★あとがき★
もうすぐハロウィンですね。近所の教会でもハロウィンパーティが開催されるようで、チラシを渡されました。
いい大人がコスプレ参加って、どんな羞恥プレイなんだろう。主催者(神父様?)の考えることは分からん…。


2009/10/21




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