暖かな光※


群青色の空。白みがかる東の雲。
道行く人にとってはいつもと同じ朝の訪れでも、俺にはいつもと違って見えた。

窓から見える風景をぼんやり眺めながら、ゆっくりとココアを飲む。暖かいそれは、まるで俺の心までもポカポカと温めるようで、自然と頬が緩んだ。
ふと隣りに視線を這わすと、未だ布団にくるまり惰眠を貪る靖貴が居て、俺は幸せを噛み締めるようにそっと唇を重ねてみた。
「……ん…まぁ…ちゃん」
「悪い、起こした?」
眠り姫は、王子様のキスで目が覚めました。なんて、現実は御伽話のようにはいかなくて、小声で尋ねた俺の言葉に反応する事もなく靖貴の瞼は閉じたままだ。
自分の隣りに靖貴が眠っている。今までも何度も靖貴の部屋に泊まる事はあったけれど、恋人として泊まったのは初めてで。にやける顔を誤魔化すように、俺は残りのココアを一気に飲み干した。



「まぁちゃん、明日も暇?暇やったら、今日うちに泊まって行かん?」
いつものように靖貴の部屋で漫画を読んでいると、突然やつがそう言った。
ドキン、強く鼓動が弾む。
靖貴の両親は、結婚二十周年記念に旅行をしているとかで留守にしていて、今週はずっと家を空けている。だから、この家には今、靖貴しか居ない。

泊まる、という事は、そういう事なのだろう。俺たちは恋人同士で、しかも健康な男子高校生なのだから。
「……一人じゃ寂しくて泣いちまうタカのために、しょうがないから泊まってやるよ」
照れ隠しに憎まれ口を叩いた俺に、靖貴は嬉しそうに笑ってキスをした。

「……まぁちゃん…」
「……タ、カ…ん」
何度も角度を変えながら唇を重ねて、次第にそれは深くなっていく。舌を絡めるたびに湿った音が静かな部屋に響いて、その音に煽られるように益々キスは激しくなっていった。
「……はぁ…まぁちゃん、好きやよ…」
唇を離した二人を繋ぐように細く伸びた銀糸を舐めとると、靖貴は首筋に唇を這わせてくる。
ピリッと小さな痛みが生まれ、キスマークを付けられたのだと理解した。
服を脱がされ、身体のあちこちにキスされる。そのたびに俺は、熱に浮かされたようにビクンと身体を震わせた。

「っ……ぁ…!」
靖貴の唇が胸の突起を掠めた途端、自分のものとは思えない甘い吐息が漏れた。
「ここ、気持ちええの?」
「ゃ…ぁあ…」
靖貴に胸の突起を吸われると、甘い疼きが背中を走る。有り得ない、男の俺がこんな場所で感じるなんて。
それでもこの甘美な刺激を誤魔化す事なんか出来なくて、いつしか俺はねだるように胸を靖貴に押し付けていた。
「可愛い、まぁちゃん。もっと乱れて?」
靖貴の手が、ズボンに触れる。その間も胸への刺激が止まる事は無く、俺は快感に翻弄されるままに衣服を総てはぎ取られた。

「んんっ…ああ…」
胸の刺激によって頭をもたげていたペニスに、強烈な快感が走る。
慌てて下腹部に目をやると、いつの間に脱いだのか裸になった靖貴の顔が、俺の股間にあった。
「やぁあ…あぁんッ」
舐められてる。俺のペニスを、靖貴が咥えているのだ。
今まで感じた事もない強い快感が身体を震わせ、腰が揺れるのを止める事が出来ない。
大好きな、愛しい人が自分のモノを咥えているのだと思うと、恥ずかしいのに目を背ける事さえ出来なかった。
「も…ダメ、イクぅ…っ」
靖貴の口の中でペニスはヒクヒクと蠢いて、抗う事の出来ない波が身体を巡る。
「ええよ、出して?」
「あああ…ッ」
グチュッと湿った音を立てて先端に舌を押しつけられた瞬間、頭が真っ白になった俺は、靖貴の口の中で果ててしまった。



それからは、あんまり覚えていない。
覚えているのは、出来るだけ俺に苦痛を与えないように優しく事を進めてくれた靖貴の手と、最中にずっと囁いてくれていた靖貴の言葉。
靖貴は、俺が不安を感じないように、ずっと名前を呼んでくれていた。そして、何度も愛していると囁いてくれた。

駄目だな、俺。昨夜の事を思い出すだけで顔が熱い。
「なぁ、起きろよタカ…」
早く起きて、俺を抱き締めてくれよ。そんでさ、昨日みたいに愛してるって言ってくれ。
お前の声を、早く聴きたいんだ。

空っぽになって冷たくなったマグカップをベッドサイドに置き、俺は再びベッドに横になった。
愛しい彼の身体に、そっと腕を回して…。


★あとがき★
靖貴×正和の初エッチ話。しかも中途半端なところで朝チュン。
ぬるくて申し訳ないです。エロ目的の方は、他サイト様に行った方が幸せになれるかもしれません…。


2009/9/11



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