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妄想男子
ロールキャベツ系大学生×妄想高校生
俺には好きな人がいる。
高校から帰宅する最中の電車の中、席に腰を下ろした俺の向かいに。今日もまた、彼は座った。
夕方のこの時間はちょうど乗客が少ない時間帯みたいで、席が埋まることはまずない。それなのにわざわざ俺の向かいに座る。ということは、まさか俺を覚えていてくれているんだろうか。
ああ、でも車内での彼の過ごし方はやっぱりいつも通り。席に座ったかと思うと、すぐにイヤホンを両耳につけて目を瞑ってしまった。寝ているのか起きているのか、それさえ分からない彼の顔をそっと窺う。
きっと大学生なのだろうと思う。明るすぎない焦げ茶色の髪の毛には軽くパーマが当てられ、お洒落な黒縁眼鏡をかけている。服装は美容師のお兄さんがよく着ているような、長い丈と緩いシルエットの物が多い。
目を開いた姿はそれほど見たことがないけども、それでも少し垂れた目ととても優しい瞳が印象的だった。
一言で言えば、穏やかで今時のイケメンお兄さん。それが外見から想像できる彼だった。
――でも。こういう穏やかそうな人ほど、そっちの方は激しいというかドSだったりするんだよなぁ……。
『ふっ、ぅんんっ……!はっ、あぁっ、も、むりっ!これ以上は、やだぁっ……!んぁあ!』
『無理じゃないよ』
息も絶え絶えに訴えた俺の言葉はあっさりと却下された。優しげな、それでいて有無を言わさない口調の彼の声が響く。
両膝を肩まで上げて大きく開いたこの体勢は恥ずかしいけど、それもすぐに襲い来る快感に埋め尽くされる。何しろ俺の後ろは彼のちんこを美味そうにくわえ込んでいて、激しい突き上げに遭っていて。しかも俺のちんこは根本をきつくリングで戒められているのだから、頭が真っ白になる。
『や、だっ!ああぁっ、おかしく、なりそうっ……!ふああっ、ぁっ、やだ、お願いっ、出させて!ああっ……!』
ガツガツと奥を突かれる度に目の前がチカチカする。イキたいのに。イキたくてたまらないのに。真っ赤に充血した俺のちんこからは精液は出ない。身体中がずくずくとした快感に侵されて、思わず涙が溢れた。
『辛そうだね……そんなに出したい?』
その問い掛けにただ何度も何度も頷く。こめかみを伝う涙はベッドに落ちる前に彼の舌で舐めとられて。そんな些細な刺激にさえも身体がビクビクと反応するのが分かった。出したい。出して、このどうしようもない快感から逃れたい。
『出したいっ、出したいっ……!イかせて、おねがっ……!ぅあああっ、や、あぁっ!』
『そんなにイキたいんだ。じゃ、まだダメ』
俺の懇願は奥を貫く彼の動きで喘ぎに変わる。イけない快感はいつまでも身体の奥底に溜まって、蕩けてしまいそうな程に俺を蝕んでいく。そんな状態なのに、一度入ってしまった彼のスイッチは止まらないみたいで。今度は俺のちんこを握り込みながら鈴口をぬちぬちと弄ってきた。
『はっ、んんんっ!ふ、イけ、ぁんっ、ないのに……!この、ドSっ……あっあっああ!』
『何それ、褒めてくれてるの?』
彼はやっぱり面白そうに笑うだけ。鈴口を擦る動きもそこから出る音もますます激しくなって、強制的に高められる。それでも彼は奥をちんこでゴリゴリと苛めることも忘れない。前からも後ろからも絶え間なく送られる、抗えない快感。
ふ、と。俺のちんこがぶるりと震えた。何も出るはずはないのに。まるで精液が出る直前みたいなその動き。背中から腰まで何かが走り、腰からちんこまでを駆け上がってくるこの感覚。
『はっ、や、何これ!あっ、出ない、のに……!イっちゃいそう、ぅああ!あっ、ぅうん、あぁぁっ……!』
彼がちんこ全体を扱き上げて、先端をぐりぐりと押し潰しながら擦って。耐えきれない気持ち良さに、頭の中で白い塊が勢いよく弾けた。あまりに大きな快感に、腰が跳ね上がる。根本が戒められているのに、俺のちんこの先っぽからはぶしゅぶしゅと白い物の混じった液体が飛び出ていた。
『すご……。ね、もしかして空イキしちゃった?さすがだね』
俺の盛大なイキっぷりを彼が見逃すはずもない。感心したような声色で言いながら、唇の片方を吊り上げた。何か言葉を返したくても、俺のそれはまだ液体を吐き出し続けていて。全身を襲うとてつもない快感の前では意味のある言葉などとても出ない。
『……でも、もう一度くらいイけるでしょ?』
続けられた悪魔の宣告。きついリングを音を立てて外したかと思うと、俺の前立腺を擦り上げながら激しく腰を打ち付け始めた。
『ひっ、ぅあっ、うそっ……!はああっ、まだ、イってる、のにっ!あっあっ、んあぁあっ、はっ、やだっ、また……っ!』
未だイってる最中だった俺のちんこは、彼に突かれる度にぶしゅぶしゅと液を飛ばす。敏感になっている身体だというのに容赦なく前立腺まで責め立てられて、何もかもが分からなくなる。まるで全身が快楽を貪る為の器官になったみたいだ。
『俺がイくまで、もうちょっと頑張ってよ』
そう言う彼は打ち付けを緩めない。達したばかりの身体はあっという間に登り詰めて。強すぎる快感は電流みたいで、全身が痙攣した。
『がんばれ、って、そんなっ、むり……!や、ぁあっ、また、またくる!やだっ、んぁああっ、またイっちゃう!あっんああっ……ふ、ぅうん、ぁぁああっ!』
待ちかねた精液が、ちんこから勢いよくびゅるびゅると飛び出してくる。そのあまりの気持ち良さ。ただ快楽に身を任せてイキ狂い、後ろに入っている彼のちんこを感じながらきつく締め付ける。
『っ、本当、君って凄い……!』
彼が小さく息を詰める。そうして俺の中は彼の濃い精液で叩き付けられる。その刺激にまた軽くイって、俺の射精の勢いも強まった。
「君」
ずるりと彼のちんこが俺の中から抜かれた。でもそれはまだ力を失ってなくて、どくんどくんと脈打っている。そのちんこを彼は俺の口まで持ってきて。
そして相変わらずドSスイッチの入った清々しい笑顔でこう言う。
『責任とって綺麗にして』
「ねぇ、君」
そう、彼の声は例えば。低くもなく高くもない、とても柔らかくて聞きやすい声。
「……聞いてる?」
この声なんてまさに彼らしい、理想の……
「っ!?」
慌てて身を引いた。なんで。なんで目の前に俺の好きな彼の顔が。心臓があまりにバクバクうるさくて倒れそうだった。妄想のしすぎでついに彼を具現化できるようにでもなったのか。ただ口を何度もぱくぱくさせて、でも声が出ない俺を見て彼は小さく笑った。
「これ、君のでしょう?昨日ここで拾ったんだけど、君がバッグに付けてるの見たことあったから」
彼が取り出したのは何の変哲もないキーホルダー。それは確かにこの前落としてしまった物だった。でも、どこにでもありそうなキーホルダーなのに、どうして俺の物だって。
なんで、なんで俺の存在に。疑問ばかりがぐるぐる頭を回って言葉にできない。くすくす、と笑い声が落ちてきて反射的に彼を見つめた。
「毎日毎日あれだけ熱い視線を貰えば嫌でも君に気付くよ」
いかにも楽しげに笑った後にちらりと俺に視線を送ってきて。ふと彼は腰を屈めた。
「――君の名前、教えてよ」
吐息混じりに耳元で囁かれて、熱い息が首に当たって。思わず身を震わせてしまった。そんな俺を見て、彼はまた笑った。……あ、この顔。俺が想像していた通りの。ドSスイッチが入ったときの、この人の笑顔。
ゆっくりと唇を開く。俺がこの人に名前を教えるまで、あと数秒。