自分でわかっている。どうしようもなくクズである自分を。


「青雉大将、今晩どうですか?」

「あー…いいよ。色っぽい服着てきてちょうだい」

「大将ってば!期待しててください」


いつも誰か女の子が寄ってくる、それを拒まないおれ。今日も仕事終わって帰る途中に、さっきの女の子から誘われた。あいつ、名前なんだっけ?わかんねェし、興味もねェな。おっぱいが大きいところだけ興味はある。だっておれも男だしなァ。

彼女?ああ、いるけど。ヨシノっていう美人な彼女がね。あいつ本当にいい彼女なのよ。おれの事大好きだし尽くしてくれるし、飯もうめェ。

浮気してんじゃねェかって?
だってあいつも公認だしね。なにが悪いかわからない。ヨシノの事は別だ。好きだし、それ以外なにもないんじゃないの。

寄ってくる奴はすぐに足開くから楽だ。

ただ抱く度にだるさしか残らない。行為が終わった後、女がすり寄ってくるが、鬱陶しい。特別だと勘違いしちゃう奴いるんだわ。ただの快楽のためのしのぎでしかないのにな。

だから、やっぱりヨシノのほうがいいと思う。別れるつもりはない。なのに浮気はやめらんねェんだよな。


帰宅した後、ヨシノが飯を用意してくれていた。黙ったまま食べるおれにヨシノは笑って見つめてくる。おいしい?と聞いてくる。それを鬱陶しいと思い、普通だなんて答えた。それでもヨシノは笑っていた。この女は本当におれのことが好きなんだ、これからもずっと。

そして、笑って

「ヨシノ、今夜帰んないから」

「いってらっしゃい」

冷たいドアの音が耳に残る
罪悪感?あったっけ?忘れてしまった。いつからこんなにおれは冷えきってしまったのか。色んな相手と重なりあって、ただ気持ちいいことをしたいだけ。それだけ。重なりあえば温かくなる気がするだけ。なにが悪い?

…本当は知ってる、ヨシノが泣いてることくらい。だけどやめる理由がわからない。

思わず溜め息がもれた。


面倒なことは考えたくねェな

胸を押しつけてくる女と腕を組んで、夜の街へ出ていった。

おれは馬鹿な男、されど愛されている男だ。



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