仕事中、ふと昨夜の出来事を思い出す。表情には出さないが、心は悶えて仕方がない。どうしようもなく好きだと思ったり、早く手にしたい。おれも柄になく緊張したが、ヨシノの心臓も速かったことが気になる。期待していいのか?

早く会いたくなって自然と仕事が進んだ。あとは青キジとの関係が切れるだけ。ずっと想っていた片想いが終わる。


図書室に向かう、午後7時。あいつも仕事が終わっている頃だろう。ちょうどいい時間帯である。

ドアを開けると部屋内はヨシノしかいなかった。

ヨシノが椅子に座って本を読んでいた。どんな姿でさえ愛しい。おれを見つけると笑顔で手を振っている。歩いて近寄り、ヨシノを立たせて抱き締めてしまった。ヨシノはおれの腕の中で動揺しているのがわかる。


でも、もう抑えれない。


「ど、どうしたの?スモーカー。疲れちゃった?」

「…………ヨシノ」

「、耳元で囁かないでよ…!」

「好きだ」


手に力が入るのがわかる。これで、親友との関係は終わり。腕の中にいるヨシノを見ると震えていた。思わず離した。顔が見れなくて肩に両手を置いて下を向く。だが、ヨシノの顔を見て言わないとダメだ。顔を上げじっと見つめる。ヨシノはどうしたらいいかわからない、ようだ。


「ずっと好きだった。お前が青キジと付き合う前から、な。おれはお前が、ヨシノが好きで仕方ないんだよ。こんな気持ち捨てるに捨てれねェし、今言うのも卑怯ってことくらいわかってる。けどおれを見てくれ」

「スモーカー…」


言いたいことは言った。もう後に戻れない、だが後悔はない。ヨシノは微笑んで泣いた。図書室の静けさが続く。


「あのね、スモーカー。」

「なんだよ」

「私スモーカーと一緒にいたら幸せになれるかな、ってずっと思ってたの。でもね、クザンの気持ちも捨てきれないの。だめな女だよね、私」


我慢しきれずに涙が溢れてくるヨシノ。痛々しくてまた抱き締める。こいつはどれだけ泣けばいいんだ。笑える日はくるのか。いや、おれが幸せにすればいいんだ。


「だめな女でも好きなもんは変わらねェ。押しつけて悪ィが、お前があいつのことで泣いてるのも腹立つ。だから忘れさせてやる」

「ばか…」

「なにがだ」

「私ずっとスモーカーに辛い話しかしてなかったよね、本当にごめん…!気持ち気づかずに、」


話の途中でヨシノの話を遮った。自分の唇で。ずっとしたかったことがようやくできるのだ。目を見開いているヨシノの顔が目に映る。


「わかった。おれが言いたいのはこれからの話だ。今まではお前が幸せならそれでよかったが、好きな女が泣いてるのに耐えれねェ」

「優しすぎるんだから!ばか…」

「うるせェ」


机にヨシノを組み敷いて、また唇を落とした。最初は抵抗していたが徐々にそれも弱まったところで舌を入れるとヨシノも絡めてくる。ふとヨシノの顔を見ると熱っぽく帯びていて止まらなくなりそうであった。

今はだめだ…!抑えろ、おれ。
おれの首に腕を回して机に組み敷かれてるヨシノ。最後までやりたいと思うが、場所が悪いし、こいつの気持ちも聞いていない。


「はぁっ、スモーカー…?」

「これ以上やったら、止まらなくなるぞ。おれはお前の気持ちをまだ聞いてないんだが」

「スモーカーなら好きになれると思う。私、まだまだダメな女だけど…よろしくお願いします」

「いいんだな?」

「はい、スモーカーがいいです…」

「ヨシノっ、」

「きゃ、苦しいってば」



ようやく片想いに終焉を告げれた。そして実を結ぶなんて、夢みたいである。約2年間耐えてよかった。腕の中で顔を紅く染めたヨシノを守ると決めた。

しかし、その一方、外で見ている奴がいるとも知らずに。


「あらら、これはきついな。ヨシノ…」



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