泣き虫 ミホーク 七南さん
「あの、ミホークさん」
「なんだ」
「ここれってゆ誘拐…?」
「それがどうした」
「(通じない)」
この人はマイペースである。それは前から承知しているが、話している最中にいきなり担ぐなんて、マイペースにも程があるだろう…!いきなり部屋に入ってくるのは毎度のことなので気にしないが、話している最中に立ち上がり焦るあたしを前に担いだのだ。
廊下の人達はもう慣れたのかスルーされる。
目が合ったのに、またか、というような目である
最初のほうは必死に止めてくれたのに、酷いです。
ごめんなさい、助けてください。
「あの、どこへ…?」
「さあな」
会話が成り立たない。どうしようか悩んでいるとある部屋に入った。倉庫のようで書類が棚に溢れるほどある。そこで下ろされて、書類の多さに感動していると、腕を引っ張られ尻餅をつく形になった。お尻が痛い…、と唸っていると笑った声が聞こえる。そういえばこの人が連れてきたんだ…!
目の前にしゃがむミホークさん。この部屋は棚と棚の間が狭いので、足と足が当たってますます緊張感が増す。
「クク、顔が赤いぞ」
「なっなななんでもないです」
「ここなら誰も来ん」
「ええ…?」
どんどんと距離を縮めてくるミホークさんに心臓がうるさい。七武海の人達は何を考えているのだろうか。顔が熱くなっているので、赤くなっているのだろう、恥ずかしい。
「な、なにするんですか…!」
そう言っても止まる気配はない。
最後に見たのは鷹のような目。ああ、さよなら、ファーストキス。こんな倉庫みたいなところで終わってしまうのか。
おでこに柔らかい感触。そこに熱が集中したみたいで、混乱して何が起こったか理解するのに時間がかかった。
すると近寄る気配が下がった気がして、目を開けると小さく笑うミホークさんの姿があった。額を両手で抑えてみる、ここにミホークさんの唇が、
ぼん、頭が爆発したようです。
「まだまだお子さまだな」
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マウストゥーマウスはしない優しいミホークさん。からかい半分、本気半分くらいなミホークがいいと思う。
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