なかなかの得物のようだ
「サカズキ大将、どうぞお茶です」
邪魔にならないタイミング、場所、熱さ。全てが完璧だと思われた。しかし出す相手がミツキの時点でおかしい。それはサカズキも感じ取っていた。手を出せずにいる。
「なにもいれちょりゃあせんじゃろなァ」
「もちろん、部下を疑うのかしら?」
「ごめんなすって、ミツキちゃんいる〜?」
緊迫した空気のなかドアを開いてきたのはボルサリーノ。海兵はほっと安堵の息をもらした。この人がいれば空気が和らぐから。話し方だけでも癒される気がする。二人が睨み合っているところへ行く。
「なにかしら、ボルサリーノ大将」
「うーん、本当に異動してるんだねェ。わっしはたはだの様子見だよォ」
「それならさっさと出ていけ」
「う〜怖い怖い。あ、お茶あるじゃない。飲ませてねェ」
「あ、おい!それは…」
「ふふ、おもしろくなってきたわ!」
だから一体何が起こっているというのか。飲み干したボルサリーノは笑顔であったが、それも歪んでくる。動悸が激しいのか、胸を押さえている。もしかして毒なのかと心配そうに見つめる海兵。
「超協力な媚薬よ。もう体が熱くて仕方ないでしょう?ボルサリーノ大将」
「あァ、やられたねェ。ちょっと理性がぶっ飛びそうだよォ」
「いつものボルサリーノもいいけど、理性が飛んだボルサリーノもいいわね!公開プレイでするのかしら?」
「んん〜、それもありだけどねェ。サカズキが怖いから別の部屋でしようかァ」
「おんどれら、ふざけるのも大概にしろ!今は勤務中じゃァ!」
「なら、サカズキ大将も飲んでくださる?気持ちいいわよ」
密着して誘うがサカズキの意思は堅い。それを振り払って勝手にせい!と叫んだ。海兵は何も見ないかのように仕事を続ける。まさかボルサリーノが飲むとは思ってなかったからだ。ああ、悲惨。
「つれないわね。ボルサリーノ大将、どれくらいで済ませれる?」
「んん、この調子だと1日やばいねェ。サカズキごめんよォ。1日借りるねェ」
「クソッ、煩わしい奴等じゃァ!」
ミツキは言えばひょいと持ち上げられ、そのまま去っていく。サカズキは苛々しすぎて書類を何枚か焦がしてしまう。ミツキが来てからうまくいかないことばかり。それでもミツキは仕事が早いから効率はよくなっている。そのことに対しても余計腹が立った。