▼13

「スピードワゴン、元気か?拘束機を外そう」


ベッドに縛られているスピードワゴンの額にキスを落とし、拘束機を外した。シュトロハイムは何も言わなかった。スピードワゴンは驚いたのか声も出ないようである。


「シュトロハイム、ちゃんと飲食させているのか?痩せたように思える。」

「一応出しているのだが…食べないのだ」

「持ってきなさい。薬なんぞ入れるな。あァ、愛しのスピードワゴン。傷を治してやろう」


シュトロハイムはその場から離れた後ロストレコーディングで傷をなかったことにする。スタンドを出すのは久々である。みるみる内に治り、やっとスピードワゴンは声を出した。


「ミヅキさんッ!何故ここにいるんですか!」

「ナチスに攫われたんだ。スピードワゴンがいると聞いたから。ストレイツォが今ジョセフに報告しに行っているはず」

「ストレイツォやナチスまで言うことを聞くのか…」

「どうやら、気に入られたらしい。あとで体を調べられるそうだ。ジョセフは追いかけてくるだろうし、私は寝て待つよ。ベッド、寄ってくれ」

「こ、ここで寝るのか!」

「それ以外にどこがある?愛しい人の側は落ち着くんだ」


ベッドは温かくて眠気を誘う。夜から寝ていないのだ。起きたら調べてもらおうか。そのまま眠りに落ちてしまった。


「スピードワゴン、飯だ…ミヅキさんは寝てしまったのか」



お盆に乗せたものをベッドまで運んでくる。シュトロハイムはミヅキの寝顔を見て安らぎを得ているようだ。それにスピードワゴンは舌打ちした。


「ミヅキさんを利用しようなんぞ、考えるなよ。この方はお前らと関わるべきではない!」

「大声を出すな、起きてしまうだろう。ミヅキさんを利用しようなど、考える訳がない。この方は癒しだ…ナチスに欲しいが、家族から離れたくないと断られた」

「お前がそんなことを言うなんて、おかしいな。早く帰してくれ」

「柱の男がわかったら帰す。ん〜美しい。歳はお前と変わらないのに、美しいとは。おれを愛してくれるんだ、ミヅキさんは。おれも愛している」

「この方はなァ、昔からそんな調子なんだよ。人を愛して生きている。お前らの外道を見たら悲しむだろうよ」

「科学の進歩に犠牲はつきものだ。それに理解してくれるさ。起きたら知らせろ…」


シュトロハイムの瞳が真剣だったので、それ以上何も言えなかった。





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