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メキシコに行く前に攫われた。ドイツのナチスとやらに。どうやらスピードワゴンを知っているみたいだ。使わせてもらおう。手錠をかけられ、目隠しされたまま連れて、たどり着いた研究所。目隠しが取られ、眩しい。もう朝か。
下品な笑みを浮かべている門番を懐かせる。可愛いものだ。人間の底辺を見てきた私には可愛く映る。ただ欲望に忠実なだけだから。敬礼されたので、頭を撫でた後、中に入った。引率である若い兵士私に怯えている。そんな怯える必要はないのに。
「ナチスとやら。スピードワゴンは元気か?」
「うるさい、黙って連行されていろ!」
「銃を下ろしなさい。私は君に危害を加えるつもりはない。無駄なことはやめろ」
「おまえは不老不死だから死なないのだろう!?ナチスが調べあげてやる!」
「無駄、無駄。できない。若いからな、君は。兵士として真面目なのだろう。それはいいことだが、私は同じ人間だ。仲良くしよう」
「うッ…シュトロハイム様のところへ連れて行く。スピードワゴンは自白剤を打たれ貴女のことを話されました。ナチスは貴女を調べあげるつもりです」
「素直な子は好きだよ」
先ほどの威勢はどこへ行ったのか、苦笑いを零しながら手錠を外してくれた。楽になる。束縛されるものは嫌いだ。ナチスとやらは軍隊として発展しているのか?空いた手で肩を叩くと安心しきった顔を向ける。
「シュトロハイム様、ミヅキ・ジョースターを連れてきました。失礼します!」
「失礼するよ。君がシュトロハイムか。こんにちは。攫ったことは許してやろう。スピードワゴンに会わせなさい。」
「貴様!おれを愚弄する気か!」
「愚弄というのは人をばかにすることだ。私は君を馬鹿にしていない。シュトロハイム、君は賢いのだろう?上の立場にいる。なら君を潰したらどうなる?私は何をしても死なない。さァ、会わせなさい」
「うるさァァい!」
銃で発砲された瞬間、堅で防ぐ。こんなもの死ぬ以前に効かない。コロンと弾が床に転がる。怯えるから、笑顔で接する。シュトロハイムに近づくと冷や汗をかきながら、下がる
ので握手をする。温かさは同じだ。
「悪いようにはしない。調べるのは構わないが愛しいスピードワゴンに危害を加えるのなら話は別だ。早く連れて行きなさい」
「あ、ああ…貴女は神ですか」
「触ったらわかるだろう。私は人間だ」
「おれも、愛してくれますか」
「いい子だ」
私に愛してほしいのならいくらでも愛そう。そう囁くとうっとりとした瞳で私を見つめる。皆も寂しいのか、愛されたいと望む者が多い。帽子をとり、頭を撫でる。そのまま腕を組みエスコートしてくれた。
「貴女をナチスに入れたい。構いませんか?」
「軍人か。ただの一般人なのだが」
「いえ!ミヅキさんは特別なお人です!私が薦めれば私と同じ役割、いやもっと、上でしょう」
「それは嬉しいが、私に軍人は向いていない。血が好きではないし、何より家族と離れたくないんだ。ありがとう」
「い、いえ。ですが、ミヅキさんが困ることがあれば私は全力で尽くします」
「ふふ、私に尽くすより、部下に尽くしなさい」
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新ジャンル神様系ヒロイン
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