▼11

※注意

夜、電気で明るく煌めく、周りの人達も楽しそうに歩いている。寂しくて、寂しくてどうにかなりそうだ。この虚しさをどうしてくれようか。弱ってしまうと必ずクロロに会いたくなる。黙って何も言わずに抱きしめてくれるから。


「お姉さん寂しそうだ」


横には男前な髪の長い青年。笑って肩に置かれている手を優しく退けた。


「すまない、今はそんな気分じゃないんだ。誘ってくれてありがとう。また会おう」


そう言って離れたのに、また腕を掴まれる。この青年は何がしたいのか。遊びたいのなら、顔がいいから、他の女に言っても大丈夫だろうに。少し息が荒い。路地裏に連れて行かれ、後ろの壁に手をついて、逃げられないようになった。


「なにをするつもりだ」

「綺麗だッ…素晴らしい…ッ!これが私の求めていたものだ!」

「やめなさい。聞いているか」

「あァ、綺麗な肌…ッ!不老不死とは思えん!」



きっとストレイツォという人物だろう。不老不死なんて、知っている人物はそういない。顎に手を添えられ、上を向かされる。うっとりしたような瞳である。そのまま唇を重ねられた。深く、情熱的で、求められていると感じた。


「ッ、ストレイツォ、だろう?聞きたいことがある。君はスピードワゴンをどうした」

「一応生きているはずだ。置いてきたからな。あァ…美しい」


話しながら首筋や胸や足にまで、痕を残す。赤い痕が何個もついていくのだ。私とする人は痕を残したがるのか。50年前の恋人を思い出した。あの時助けてくれた二人はもういない。自分で解決しなければ。


「わからない。何故私を求めるんだ?」

「…ミヅキには若い頃から憧れがあった。私は年老いていくのに、棺桶で眠るミヅキは何も変わらない。それにディオの圧倒的なパワーにも憧れ、そんなディオが愛したミヅキを手にしたいからだ」

「そんな理由か。それにこんな場所でやりたくない、ロマンがない。男は女の気持ちをわかろうとしてくれないものだな。いつの時代も」

「抵抗しないでくれ、永遠を生きれるのは二人だけだ」

「つまらない。離せ」


硬で思い切り殴った。人を殴るのは嫌いだが、仕方がない。一般人なら体がぶっ飛んでしまうが、果たして念で倒せるのだろうか。勢いよく飛んでいったが、ふらつきながらも、立ち上がる。吸血鬼とは面倒なものである。路地裏から表の道路まで飛んだ光景を見ていた一般人が騒ぎ出した。ここではまずい、場所を移動させよう。

人がいない橋の下へたどり着いたが、ストレイツォも後ろから追いかけてきた。私にこだわらなくてもいいじゃないか。寂しがりやなのか。泣きそうな顔でこちらを見る。そんな顔をしないでくれ、どうにも調子が狂うだろう。ディオの泣き顔を思い出してしまう。


「ストレイツォ、愛してあげよう。でも君は人を殺したのだろう?悔い改めなさい。その罪を償うのなら、の話だ」

「私はッ!ミヅキと生きれるなら、何だっていい!拒否しないでくれ」

「ほら、こっち来なさい。スピードワゴンはどこにいる?」

「メキシコだ…生きているかわからないが…」

「うむ、わかった。ほら怯えるな」


ゆっくりと近寄り抱きしめられる。綺麗な黒髮を撫でた。甘えたいのだろう、首元に顔を埋めて血を吸おうとしたのか、牙が立てられており、チクリと痛みが走る。


「ああ、ミヅキ。もしミヅキの血を体内に入れたら、ミヅキと一体化するのだろう?興奮しておかしくなってしまいそうだッ…!吸わせてくれ」

「いくらでも吸いなさい。私は死なないのだから。ッ」


じゅるり、と勢いよく吸うストレイツォ。興奮しているのか、硬いものが当たる。それを当ててくる、余程興奮しているのだろう。血を吸われるのも何故か快感を得れる。これはたまらない。


「なァいいだろう。疲れる。それに当てるな」

「すまない。愛しているから、体が反応してしまうんだ」

「そうか。私も愛してるよ。君にはしてもらわなければならないことがある。聞いてくれるか?」

「私はミヅキの言う通りにする。何でも言ってくれ」

「ふふ、いい子だ。だが、自分の意見も持ちなさい。まず一つめ、ジョセフに自分の口から話しなさい。悔い改めると言ったはずだ。ちゃんと謝るんだ。二つめ、それが終わればメキシコに来なさい。殺した人の墓標を建てる。私は先に向かってスピードワゴンを探す。わかったか?」

「仰せの通り」



私はメキシコへ行く。



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