▼閑話
姉さん、もうそろそろ我慢の限界だ。あれから数年毎日共に過ごしているのに、何もできていない。愛を囁いているのに、弟としてしか見てくれない。ジョナサンもそうだ。あいつもきっと、姉さんを愛している。
僕のものだ。僕だけの姉さんだ。
「ディオ、愛しいディオ。怖い顔してどうした?」
「姉さんのことを考えていたんだ」
「それは嬉しいことだ。大学はどうだい?」
「成績は一番です。姉さんとお揃いだよ」
「偉いよ、さすがはディオだ。ジョナサンと仲良くしてるか?」
「…ええ。」
姉さんには言えない。この家を乗っ取って、僕と姉さんだけにしようとしていることを。ジョナサンには悪いが、姉さんは渡さない。大学はもうすぐ卒業だ。卒業すれば姉さんにプロポーズして、この家で一生共に過ごすんだ。僕のこの性格を知って、嫌うだろうか。きっと姉さんは笑って許してくれるだろう。
「ディオ、私は明日から一週間、家を出る。貧民街でボランティアをするんだ。留守を頼む。愛してるよ」
「僕は姉さんを誇りに思います。早く帰ってきてください」
「ああ、任せておくれ。」
そう言って僕にだけ特別唇にキスをしてくれる。僕が唇じゃないと許さないからだが。舌をねじ込みたいのを我慢して何度も口付けを繰り返した。
「ん、ディオ。欲求不満を私にぶつけるな」
「愛情表現ですよ、姉さん。」
早く喰らいたい。でも姉さんを汚したくない。葛藤する心を読まれないように笑みを浮かべた。
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