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ディオとジョナサンは仲良くやっているみたいだ。微笑ましいこと。外でいつも通りに本を読んでいると、可愛い女の子とジョナサンが水遊びしているのが見えた。青春だ。私もそろそろ恋人を作ろうか。年齢的にはジョースター卿か。
「姉さーん!そこにいたんですね!一緒に水浴びしませんかー!?」
お、ジョナサンに見つかってしまった。笑みを浮かべながら川まで歩く。本はあと数十ページで終わるところだった。
「やァ、ジョナサン。可愛い彼女を連れて羨ましい限りだ」
「違います!エリナは幼馴染です」
「初めまして、エリナです」
「どうも、幼馴染かい?幼馴染からの発展は案外すぐ崩れるものなんだ。経験してる」
二人は否定するが、エリナはどう見てもジョナサンの事が好きだ。顔を赤らめて視線が熱い。ジョナサンはどうなんだろう。まだ幼馴染としか思っていないのだろうか。水着はないので、下着で入ろうとしたが、ジョナサンに止められた。お年頃っていうものか。木の根元で本を読むことにした。
「楽しかったなァ、今日も!」
「水に入りたかった。ジョナサン」
「だ、だって!男の前で女の人が下着になっちゃいけないだろう?」
「ジョナサンも大人になってきたんだ!ふふ、可愛いジョナサン。ん、本を忘れた。先帰っていて」
「僕も行こうか」
「大丈夫、ありがとう」
ジョースター卿の本棚から取った本を忘れるなんて、まずい。川に近づくに連れてディオとエリナが向かい合っていた。それを隠れて見ていた。なに、もしかして三角関係?するとディオがエリナに熱烈なキスを無理やりしていた。う、少し胸が痛い。大事に育ててきた子は立派な男になったんだ。何故三角関係を選んだんだ、ディオ。どちらを応援していいか、わからない。
「いきなり、何するのよ、ディオ!」
「ごめんエリナ。練習がしたかっただけだ。忘れてくれ」
「ジョナサンに知られたらどうしてくれるの…!」
なにやら、泥沼である。出ていき、エリナとディオの間に入った。ディオを真正面に、目を見開いて驚いていた。
「面倒なことになってるな。ディオ」
「姉さんッ、今のは違うんです…ッ!」
「あァ、エリナ。今のキスは忘れてくれるか?忘れさせてやろう」
エリナの顎に指を添い、持ち上げてそのままキスをした。ディオのものより熱情的に、舌を絡めてやる。放すと欲情の目をしている。うむ、ジョナサンに任せたいところだ。
「これで許してくれるか?」
「ああ、お姉さま!許します!」
「可愛いエリナ、ありがとう。気をつけてお帰り」
純粋な子にあんなことをしてしまった。仕方ないこと、弟の不始末は私がやる。ディオは泣きそうな顔で下を向いていた。
「ディオ、可愛いディオ。どうしたんだ?エリナのことが好きなのか?」
頭を撫でてやると、いきなり抱き締められた。思春期はどう接すればいいものか。
「姉さんとキス、したかったんだ!その、練習だ。恥ずかしいこと言わせないでよ」
「あァ、そうだったのか。勘違いしていた。でもディオ、人に迷惑かけていいものだろうか?ディオは練習だが、エリナにとっては初めてのキスだったんだ。周りのことも考えなければいけない」
「ごめん、姉さん。姉さんを愛してるから、唇でしたいんだ」
「弟よ、女はいっぱいいるぞ」
「姉さんじゃなきゃ嫌だ」
姉離れは到底無理なのではないか。そっと唇をディオのそれと合わせた。
そろそろ私も恋人を作ったほうが、いいかもしれない。弟も離れられないだろう。
ディオは満足そうに笑みを浮かべた。
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