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ジョースター一家の皆さんは優しかった。貴族の豪邸、紳士の親子。ディオも大人しく私の後ろを着いてくる。途中で着替えさせられたドレスを着て、歩くのは慣れなかった。部屋も一人部屋でなんだか寂しい。両隣にはジョナサンとディオ。
ジョナサンはいい子だ。
「初めまして、私はミヅキ・ブランドー。こちらはディオ。仲良くしてね」
「は、はい!ディオ君は僕と同じ年だったね!よろしく!」
握手を差し出した手にディオは笑顔で答えた。微笑ましい様子だ。私はジョースター一家を愛せるだろう。
しかし、なぜか広すぎて落ち着かない。隣にディオがいないからだな…
「失礼します、ミヅキさん、少しお話しあるんだけど、いいかい?」
「あァジョナサン。いいよ、来なさい」
控えめにノックして入ってきた彼は紳士。しばらく慣れる気がしない。今まで下衆相手にしてきたから。ディオは別だけれど。ソファーに座らせ、まだ荷解きしていないので質素な部屋だが、ミヅキには十分だった。
「ディオのことなんだけど…」
「どうした?」
「僕、ミヅキさんに話しかけるとディオに睨まれる気がするんです。姉弟ですよね…?」
今後が心配なのか、顔を曇らせる。この子も素直で優しい子なんだろう。ふっと笑みが出た。
「血は繋がってないが、愛しい大事な弟だ。あの子は姉離れがまだできてない。独占欲が強くてね。許してやってくれるかい?いい子なんだ」
「はい!早く仲良くなれるように頑張ります!」
「真っ直ぐだ。いい瞳をしている。君も大好きになれそうだ」
「な、なんだか照れちゃいますね…」
外ではディオが歯を食いしばっていた。ジョナサンの野郎、姉さんに媚を売りやがって!…でも姉さんは仲良くしろと言った。だから嫌がらせはできない。
いつか絶対やり返してやる。覚えておけ。
「姉さん」
「ディオ、いたのか?」
「話し声が聞こえたんでな。姉さんだけジョナサンと仲良くなってずるいですよ」
「ヤキモチか、ディオ。可愛いディオ。こっち来なさい」
ソファーの正面はジョナサン、隣にはディオ。ディオは膝枕が好きだ。そのまま私の太ももに頭を置き、拗ねているようだ。
「愛してるよ、ディオ」
「…」
「足りないか?」
「キス、」
「甘えるなァ。ああ、ジョナサン。これが日常だ。ジョナサンも愛してるよ。家族だから」
ディオには額にキスを、ジョナサンには腕を引っ張り、頬にキスをした。顔が真っ赤で可愛らしい。
「可愛い子達に囲まれて幸せだ」
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