「実験女王」


「マユリ様ぁ……」
身体が疼いて止まらない。
先程外されたばかりの猿轡は床に投げ捨てられ、その上にはマユリ様の羽織。情事の激しさをまざまざと見せつけられているようで、また太腿を液体がつたって落ちた。
「まだ発情するか、メス豚が」
「……ごめんなさい」
情事の時から縛られている私には自分で慰めることすらできない。もぞもぞと腰をくねらせる私を横目で見て、着かけていた服をまた脱ぎ捨てるマユリ様。
「どうしようもないね、お前は」
「……ごめんなさい……はぅん!ああっ!あん!」
壁に背中を打ち付けながらも、マユリ様に腰を振って感じてしまう私は愚かなメス豚だ。
でもそれでいいの。
誰も私なんて、気にしてはくれないから。


本日何十度目かの絶頂を与えて頂き、私は解放された。
マユリ様のお土産を前の穴に詰めていると、明日は非番かと問われた。
「そう……です。たぶん」
「だったら泊まっていくんだね」
マユリ様からそんなお言葉を頂いたのは初めてだった。嬉しくてマユリ様の元へ駆け寄ると、彼は私の中の物を更に突き刺しながらニヤリと笑った。


___





目が覚めると、見知らぬ部屋にいた。
起き上がろうとすると、手足が大の字にベッドへ括り付けられていることに気が付いた。しかも全裸で。
「……涅か?」
この殺風景な部屋は恐らくは、技術開発局の実験室のひとつだろう。だとすれば犯人はあの不気味な隊長しかいない。低く唸り声が出てしまう。
「……あのぉ」
一人だと思っていた部屋から突然女の声がして、びくりと身体が震えた。ベッドの上部から覗き込んでいる若い女が顔を赤くして微笑んだ。
「はじめまして、狛村隊長」
「……は、はじめまして」
ぺこりと会釈され、動揺して同じようにかえしてしまった。そこで自分が全裸であったことを思い出して、顔から火が出そうになる。だが女は何のためらいもなくベッドに回り込み、狛村の上に跨った。
「…………ッ!何を!」
「何って、交尾ですよ」
女は羽織っているだけの着物をずらし、豊かな乳房を露わにした。
その突起を見た瞬間、自身が熱く硬化したのを感じた。
「ふふっ、そんなに興奮してくださるなんて……うれし」
そう言って口付けをされて、完全に理性が吹き飛んだ。固くなった自身を彼女の尻に押し当てようと、腰が勝手に動き回る。
「ああん!おっきい!ふふふ!」
女は焦らすように尻をギリギリで避け、太腿で挟み込んだ。それだけでいってしまいそうになる、柔らかな太腿。自然と腰が前後に揺れる。
「はぁっ……はぁっ……」
「入れたいですか?」
女は意地悪く聞いてくる。彼女の太腿が自身の吐き出す液体と彼女のもので濡れて、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てていた。
とうに我慢など、出来ない。
「いっ……入れたいッ」
「私も、ですっ
太腿が一瞬離れ、彼女が落ちて来た。
刹那。
「……あああああん!」
「っくうッ!」
凄まじい快感が押し寄せてくる。先程までは主導権を握っていた彼女が白い喉を仰け反らせて震えている。
気がつくと、欲望のままにガツガツと突き上げていた。
「はぁん!あん!ああん!あん!あん!おっきい!おっきいのぉ!」
彼女が胸に手をつき、頬を寄せてくる。柔らかい乳房がぷるぷると跳ねて、いやらしい。突起を噛んでやると、締め付けが強くなった。
「あああ……!」
「……くッ」
限界は近い。
ガンっと突き上げると、女は崩れ落ちて来た。



___




狛村隊長のは、マユリ様のモノより格段に大きく、長かった。
まさに獣。生存戦略で孕ませるための凶器だ。
「……あふっ」
一度吐き出したくらいでは収まらないらしい。中でまた固くなり出すモノを感じて、腰が揺れた。
「……貴公、名は何という」
「……っと」
繋がったままそんなことを言われたのは初めてだ。ゴーカンとかで裁くために聞いているのかもと下手な勘繰りをして黙り込むと、狛村隊長は眉間に皺を寄せた。
「…………名も知らぬ女の、責任は取れぬ」
「は?」
何を言っているのだこの犬は。
どう見ても犯したのは私だし、突き詰めれば命令したのはマユリ様だ。狛村隊長が取るのは責任ではなく、慰謝料では?
「その……中で、出してしまったのだが……」
知ってます。めっちゃわかってます。そのせいで私、まだ腰が動いているんで。
って。
「あの、責任とか、考えなくていいですよ。私のことなんてどうでもいいんです」
むしろ狼男との子を孕めば、マユリ様の研究のお役に立てるかもしれないし。そしたら、またもっと凄いご褒美をくださるかもしれないし。
狛村隊長に内心が伝わったとは思えないが、彼は苦い顔をして押し黙った。
「ていうか、すみません。もう一回いいですか?」
「…………ぐッ!ああッ」
狛村隊長のもふもふしたお腹に手をつき、また腰を振る。浅く、速く、なるべく締めるように。
「きっ、貴公……!」
「はいっ?」
「名を!」
しつこいなぁ。
私は狛村隊長の鼻先をぺろりと舐めて、微笑んでみせた。
「名前、です」
「な、名前ッ!…………ああッ!」
グッと締めて、一気に深くまで腰を落とした。
「んあああああああ!!」
ドクドクと流れてくる熱い液体が、私の中を犯していく。長くて太いのが、まだ子宮を叩いている。
「あんっ!だめぇっ!いってるっ!」
「イってしまえッ!」
「はああああああんっ!」
突き上げられたまま、ぐりんぐりんと腰を回されて、私は真っ白になってイった。



___





「名前よ」
「…………はい」
散々狛村隊長を犯しまくり、最後にはイきすぎて気絶した私はマユリ様の研究室に運ばれていた。
先程一度目を覚ました時はソファーに寝かされていたが、今はまた壁際に縛られて立たされていた。右足を吊るされているから、ゴポゴポと子宮から溢れた狛村隊長の精液が床に溜まっていく。
不意に名前を呼ばれて顔をあげると、マユリ様に右頬を叩かれた。
「何のための実験だったと思っているんだね」
「……ご、めんな、さい」
どうしてマユリ様が怒っていらっしゃるのかわからなくて、涙がこぼれた。この人に嫌われてしまったら、私には居場所なんてない。ぼろぼろと涙が溢れては落ち、狛村隊長の名残りの上に重なっていく。
マユリ様は不機嫌そうに私の下の口に指を突っ込み、かき回した。
「ああん!あんっ!あん!マユリ様ぁっ!」
「ふん。ワタシ以外の男で感じた罰だよ」
「あああっ!イくぅっ!マユリ様ぁっ!マユリ様ぁっ……!すきっ!すきですぅっ!」
中のものを掻き出されて、私はビクビクと痙攣しながらイった。
思わず発してしまった告白を、我に返って赤面した。居場所をなくしたくないと、保身のつもりだった。バレてしまったらきっと、陵辱の限りをつくしたあと殺されるだろう。
それも悪くないかもしれない、なんて。
マユリ様の骨ばった手が、私の胸を揉んだ。いつもとは違う、どこか優しい手つきで。

「ふん」

鼻で笑うその声も、いつもとは少し違っているような。


「…………名前、お前はワタシだけのモノだ。ワタシで孕むのだよ、いいね?」
「…………マユリ様」


しかし私は、私の中で狛村様の存在が大きくなって行くのを感じていた。
この日からマユリ様の研究で誰かと交わることはなくなったが、マユリ様との交尾で私が満足することもなくなっていた。
悟られてはいけない。


しかしこれが恋なのか。
ただ抱いて欲しいと思う、この劣情が。

私はわからないまま、今日もお腹をマユリ様で満たしていく。

でも。
歯車を狂わせたあの人に、また会いたいと思うのは罪なのでしょうか。




___





あれから。


あれから、あの女ことが頭から離れない。
最悪な形で出会い、最悪な行為をした。
彼女に対して抱く感情は、劣情ばかりのはずだった。


「…………っは」

何度吐き出しても収まらず、そのまま横になった。
彼女を思い出すと所構わず硬化するようになったが、これもあの嫌味なマッドサイエンティストの実験のうちだろうか。
あるいは。


「…………あるいは?」

これが恋なのか。
ただただ抱きたいと思う、これが。


狛村は落ちゆく日に目を細め、眠りについた。
彼女にまた、会える日を祈って。




end.



back



top!
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -