席替えで二度連続隣りの席になった




「越前、もしかして私と隣になりたくて仕組んでる?」

「なんで俺がそんな無駄な事しなきゃいけない訳」

「だって、ねぇ」



鞄を持って黒板に書かれた自分の出席番号の席に行くと、隣に座っていたのは前の席でも隣だった越前だった。

1番最初は確か委員会だったか。楽そうだからという理由で図書委員に立候補したら、偶然越前も一緒だった。その時は入学したてだから越前の事は全然知らなかったけど、それからも調理実習や遠足の班、しまいには男女合同体育のペアなど、事ある毎に越前と一緒になる事が多い。



「お前の方こそなんか仕組んだんじゃないの」

「なんで私がそんな無駄な事しなきゃいけない訳」

「ムカつく」

「越前の真似ですぅ」



そのせいで小坂田さんには随分うるさく言われるし、実際この人は寝てばっかりであまり話さないし、やっと話したと思ったらこんな感じだし。



「でもまぁ、いいんじゃない」

「何が?」

「退屈しないし」



でも不思議な事に、それでも越前の隣は退屈じゃない。むしろなんだか心がホワホワするような、落ち着くような落ち着かないような、そんな気持ちになる事が最近では特に多い。

どういう意味?と問いかけてみるものの、既に越前は頬杖をついてあさっての方向を見ている。私の質問に答えてくれる気配は全く無い。



「…変なの」



最初はなんだこいつ、と思ったけど、窓越しに映った越前の表情は妙に嬉しそうで、それを見た私の気持ちもまた妙にホワホワした。多分あれだ、最近暑くなって来たからちょっと頭がやられてるんだ。そうに違いない。
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