「蓮二君だー。お邪魔してます」

「こんばんは。姉は?」

「今お風呂入ってるよー、部活終わるのこんなに遅いの?」

「今日は帰りに飯を食べて来たので。何を読んでるんですか?」

「あ、ごめん、美沙子が良いって言うから蓮二君の本借りちゃった。返した方が良い?」

「いいえ、俺と貴方の本の趣味が一緒なのかと思い浮かれただけですから。返すのはいつでもいいです」

「…えと?」

「良かったら感想教えて下さいね」

「う、うん」

「出来れば2人きりで」

「へっ!?」

「聞こえなかったなら」



耳元で言ってやろうか?

そう顔を近づけて囁いてきた蓮二君は、とても年下の男の子とは思えなかった。美沙子の事を冗談でお義姉さんと呼ぶようになったのは、それからもう少し先の話。
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