「巻ちゃ、」
東堂の思考が停止した。今日は待ちに待った巻島とのデートで、目立つ髪が待ち合わせ場所に見え、その瞬間距離はまだあるというのにテンション高々に声をかけようとしたのだが、何故か知らない男たちに声をかけられている。
「君、かわいいね!」
「背高いけど……モデル?」
「髪の色もこんなだし、絶対ぇモデルとかだろ」
好き勝手に色々言うが巻島はれっきとした男だ。しかし今は冬。マフラーにコートで胸の有る無しも分からない。おまけに巻島は整った中性的な顔だ。声を出さない限りは間違えるのも仕方ない。
一方我に返った東堂はずかずかと大股で巻島と男たちに近づく。
「君たち、オレの巻ちゃんに何の用だ!」
「あぁ? 誰だよおまえ」
「んだよ彼氏持ちかよ」
「ちっ、つまんねぇ」
東堂が現れたことにより男たちは色々な勘違いをしたまま去って行った。
「……東堂ぉ」
「巻ちゃん! 巻ちゃんが無事で良かった! にしても声を出さなかったのは何故だ?」
声を出して睨みを効かせれば男だと分かったはずなのに。東堂が疑問を口にする。
「東堂が見えたから……どうやって助けてくれるか気になったから黙ってたっショ」
巻島の発言に赤面する東堂を見て「クハッ」と笑う。
「したらおめぇ、オレの巻ちゃんって……!」
「巻ちゃん、巻ちゃんは小悪魔だな……」
「はぁ? 何言ってるっショ」
ほら、行くぞと東堂の手を引く巻島に少し驚いた顔をしたがすぐ笑顔になった東堂だった。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -