タツ+ゴト→ユリ
わりと下品です注意
達海がひどい




「あの女、誰?」
「働いてる人でしょ?選手と仲良いし」
「私、あの女嫌い。いつもいるし」

聞こえてるんですけど。
そりゃあ私だってね、こんな男が九割の所で働いてて同じ年頃の女の子の友達が欲しいわよ。
あんたたちが普段働いてる九時五時出勤土日祝休みで働きたいわよ。
クラブハウスの練習がない日だってウェブサイトの更新とか、スケジュールの確認とか、備品のチェックとか、給料の振り分けとか、とかとかとか。
あれ、私なんか広報じゃない事もしてるような…。

「……」
「有里、怖い顔して何してんの?生理?」
「……私、絶対損してるわ」
「はあ?」
「セクハラまがいの事聞かれても動じないくらい男に染まってしまって私本当に女なのかしら」
「…どこ見ながら言ってんの。てかセクハラじゃねえし」
「女とさえ見られてないし。私だってね、小さい頃の夢はお嫁さんだったのよ」
「おーい、本当に生理?」
「うるさいなー!訴えますよ達海さん!」

腹いせに持ってたファイルで背中を叩いてやれば、有里がグレた!反抗期!とかなんとか言いながらすぐ騒ぐ。
ほら、練習してる選手の皆が見てるじゃん。
馬鹿なの。
馬鹿なのね。

「有里ちゃん、どうしたの」
「後藤さん!この人監督クビにして!クビよ、クビ!!」
「おいおい、まあ落ち着いて」
「うげ、本当に訴えやがった」
「何やったんだ、達海」
「えー、別にー」
「私見て生理、生理ってうるさいんです、生理だと悪いんですかああ生理ですよ生理生理!男にはこの苦しみはわかりませんよ!」
「ゆ、有里ちゃん、有里ちゃん落ち着いて!公開練習なんだからちょっとそういうのはっ」
「開き直りはよくないぞ、有里。短気は損気って昔からな…」
「うわああああまたこいつ、こいつ…!ぎいいいい」
「達海はちょっと黙ってろ…。ほら有里ちゃんコーヒー入れてやるから、なっ」
「放せえええ達海さんなんてクビだああああ」





「…すいませんいい大人が生理生理連呼しすぎました」
「いや…うん、達海が悪いから、あれは」
「私のせいでサポーター減ったらどうしよう…はあ」

恥ずかしすぎて今なら悶死できる。
達海さんに暴言吐きまくったあげく、後藤さんに抱えられて連行されてその場面を多数の人間に見られたのがとても。
消えたい…。

「まあ、あれくらいなら大丈夫だよ。多分…」
「はー…しばらく練習見るのも控えようかな…」

広報だから選手のアピールすべき部分はちゃんと見ておくべきだとは思うけど。
女性サポーターからは嫌われてるみたいだし、あまり顔を出すのはよくないかもしれない。
今日のあれを聞いたら確実だ。
机に突っ伏せば溜め息ばかりついてしまう。

「うーん、どうかなそれは」
「何がですか」
「有里ちゃんが居ないとさ、皆あんまり真面目に練習しないんだよな」
「は」
「達海だってそうだ、普通の女の子ならあんなにからかったりしないし」
「……」
「俺だってな、その…なんだ、有里ちゃんが居ないと調子が出ないというか」
「後藤さん…」
「だからさ、また練習見てやってよ」

照れ隠しなのかコーヒーを飲む後藤さん。
そんな風に思われているなんて、考えた事もなかった。
女扱いされてはないけど、私も仲間って考えてくれているのかな。
自惚れてもいいのかな。

「…じゃあ、また見ます」
「うん、そうしてやって。それでさ、今日終わったら飯でも「あっ」えっ」
「達海さんのコメント取りに行ったのに忘れてた!上手くはぐらかされた!」
「あの…有里ちゃん、」
「ちょっと取ってきます!」
「ゆ、有里ちゃん…!」

くだらない陰口や嫌がらせなんて構っている暇なんてない。
私、しばらくは結婚しなくていいや。



Working is my dream
(恋愛なんて後回し!)



「にひ、有里はやらんぞ後藤」
「俺だってお前みたいなぐうたら野郎にはやらん」
「しってるか後藤」
「何だ」
「俺は有里の初恋の相手だ、勝ったな」
「なっ…み、認めんぞ!」




頑張れ後藤


第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -