ぼくがきみにしてあげられること。
きみが大好きな北風の話を聞くこと。
きみが見てきた、素晴らしい世界の話を聞くこと。
きみが泣きそうなとき、黙って話を聞いてあげること。
きみが寂しいとき、傍にいてあげること。
すぐにはきみのもとに飛んでいくことはかなわないから、ぼくはずっときみのことを考えている。
きみにしてあげられることはとても数少なくて、とても簡単でとても難しい。
頷きながら話を聞くことはできても、ざわめく内はいつもうるさい。
それでも、ぼくは出来ることなら何でもきみにしてあげたい。
それが、ぼくだから。
私がきみにしてあげられること。
きみが興味もない北風の話をすること。
きみが見たこともない世界の話をすること。
きみが泣かない代わりに、私が泣いてあげること。
そして、きみが寂しいとき、傍にいてあげること。
きみが寂しいとき、きみはこの街から動くことも、電話すら出来ない。
だけれど、私はいつだってどこだって飛んでいける自信がある。
きみがここにいる。
私がしてあげられることでうざったくて笑えたり、少しでもきみの支えになれたなら。
頷くきみは恐らく話なんて聞いていない。
それでも、私はきみにしてあげられることならなんでもしてあげたい。
それが、私だから。
してあげられること
「マツバ」
「うん?」
「マツバがいてくれてよかった」
「…ぼくも、ミナキくんがいてくれてよかったよ」