学パロ
全体的にホモ臭。基本庶法、時々姜覇。10*バレンタインデー
「法正せんせー、これあげる!」
「おう」
「法正先生、あの、これっ…」
「おう、貰う」
「あの、私!先生の事好きなんです!」
「おう。…は?」
2月14日、バレンタイン。
恋多き学校内に、唯一そこここで数多のチョコレートが横行する日である。
甘党な法正は毎年この日を楽しみにしており、馬鹿な女生徒が好物の菓子を勝手に押し付けてくるので機嫌がよかった。
性格は悪いが顔は標準よりも高評価なせいか、毎年困らない程度には前の学校でも収穫があった。
そんな中。
「法正先生…これ、読んで下さい」
「私、法正先生のこと、かっこいいなって…」
「法正先生、好きです」
この状況は些か予想外であった。
まさか10程も離れた女生徒に愛の告白を受けるなど、法正は露とも考えていなかったのだ。
前の学校ではこういう事は容姿がよく、性格も良い教師の担当だったはずだ。
返事は後で、と強制的に渡されたチョコレートと手紙達を、半ば腑に落ちない気分で紙袋に突っ込む。
チョコレートはまだいいが、手紙。
「…馬鹿共が、年上に憧れるなら他にいくらでもいるだろうに」
例えば、性格がいいあいつとか。
法正は口の中で転がしていた棒付き飴を噛み砕くと、紙袋を揺らしながら保健室に向かった。
「ああ、法正先生。やっぱり凄い量ですね」
「…お前のは?」
「え、そんな、ないですよ」
「ない?そんなわけないだろう。そうか、隠しているのか。俺に隠れて、独り占めしようと…」
「あの、俺はそもそもモテないんですよ。あ、貰ったとしたらさっき李典と楽進から10円チョコを貰いましたけど、あれそうだったのかなあ」
「……」
「ん、どうしたんです、そんな怖い顔して…うわっ!」
手に持っていたチョコレートが沢山入った紙袋をどさ、と落としたかと思うと、法正はずかずか近付いて徐庶の白衣の襟を掴んだ。
その般若のような表情に、徐庶は混乱しつつも息を飲みながら様子をうかがう。
「貴様、一つもないとはどういう事だ!俺を侮辱しているのか」
「え、ええと、話が見えないのですが」
「俺が好きな奴が一つも貰えないなど、俺の趣味が悪いと言われているようなものだろうが」
「ええ!?」
「俺なんて本命もあるというのに、お前はゼロだなんて俺は認めないぞ」
「そ、それ、単純に法正先生がモテてるだけでしょうが!当てつけは酷いですよ!」
「はあ?この期に及んで訳の分からないことを」
「だから、義理も本命も貰える法正先生はモテるんですよ!俺に相談しに来る生徒とかも居たし、そもそも俺が法正先生と付き合えるなんて俺にとって未だに信じられないんです!」
「な…」
は、と気付いて慌てて口を閉じるが、既に遅かった。
授業は始まっていたので生徒に聞かれる事はなかったが、徐庶の前にいる法正は白衣を掴んだ手をわなわなと震わせ、耳がじんわりと赤くなっている。
「はあ…ですから、俺はあなたに想って貰えるだけで、それで充分ですよ」
「……」
「…でも、俺を気遣ってくれたのは嬉しいです」
「そ、んなことは」
「はは。でも、相談されたり本命を渡されたり…理解はできるけど、ちょっと妬けちゃうな」
「…ん、」
あ、まずい。
珍しく可愛い顔を見せる法正に、つい軽く口付けてしまった。
ぼんやり思いながらも手は止まらず、白衣に隠れた細い腰を抱き寄せると、法正は目を揺らめかせて期待している。
普段の恐ろしい教師の顔とは違い、一人の恋人として徐庶を見る法正はたまらなく可愛らしい。
前にそう言ったら物好きめ、と頬をつねられてしまったが。
「…帰ったら、貰ったチョコでフォンダンショコラを作ってあげるよ」
「女子共のチョコでか」
「みんなには悪いけど…生憎、孝直は俺のものだからね」
法正は、徐庶から行動を起こすと途端に大人しくなる。
そんな法正の頭を撫でてやると、我慢が出来なくなったのか法正は勢いよく徐庶に飛び付いた。
「…入れないな」
「ああ…」
「学校ではするなとあれほど言ったのに…」
「とりあえず、ドアは閉めておくか。…ところで仲権、私には…」
「え?さっきあげたじゃん。チョコプレッツェル。あ、姜維のは家に帰ってから開けるな!」
「……」
ちなみに姜維は手作り。
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