部活後に再び


部活を終えた名前と堀が話ながら体育館を出ると、待っていた人物に気付きピタリと足を止めた。廊下では、長身の男が二人を待ちわびており、それを見て「あっ…。」と殆ど同時に声を出す。

部活が終わったことに気付いた少年が二人の元に嬉しそうに近づいて来た。

「堀先輩、苗字先輩!お疲れ様です!」
「よっ…よぉ。野崎…どうした?」
「お…お疲れ様…。野崎君。」

動揺して思わず口ごもる二人を野崎は気にする風もなく、堀の「どうした?」という問いに満面の笑みで答える。

「苗字先輩に用があって来ました!」
「えっ!?私!?」

野崎は今にも逃げ出しそうな名前の肩を今度は逃げないように強く掴むとにっこりと笑う。これには、彼女もピクリと反射的に肩を揺らし野崎を見上げた。

「野崎君…あのさ…。話を聞いてくれないかな?」
「はい!分かってます先輩。喫茶店に行きましょう!さっきは、人前で恥ずかしかっただけですよね!?部活もあったのに、呼び止めてすみませんでした!」
「えっ…違う!ちょっと待って!?」

野崎は名前の話を全く聞かずに、力付くで彼女を外に連れ出そうとする。これには、さすがの堀も見かねて「ちょっと待て!!俺も行くから!!」と呼び止める。しかし、野崎は「大丈夫です!!先輩の力は借りません!!」 と我を通して、名前を引きずりながら下駄箱に進んで行った。

話を聞かない野崎に二人はただ困った顔をして、従うことしか出来なかった…。

(はぁ…急展開過ぎるだろ。)
(野崎君ちょっとは話を聞いて!!)

名前は、野崎に抵抗せずに半ば諦めた顔をして喫茶店に連れられ、堀は二人の後を追って喫茶店に入った。彼は、取りあえず遠くの席から彼女たちを見守ることにしたのだった…。


2016.2.15修正


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