黄色のカーディガン
春うらら。春という季節は明るく、朗らかで。私のお気に入りの黄色いカーディガンがよく映える。
黄色は菜の花の色。私の里は緑が豊かで、菜の花畑だってある。 黄色はお日様の色。暖かくて、心が軽くなって、思わず笑いたくなるような色。 黄色は私の好きな色。そして、好きな人の色。……キャー!春よ、春!季節的な意味じゃなくて恋愛の方の!一人で勝手に盛り上がっているって?恋は盛り上がってこそなんぼなのよ!
彼のことを好きになった経緯は、実はあまりよく覚えていない。気付いたら好きになっていた。本当に、その言葉のままなのだ。
彼の明るいところが好きだ。沈んだ心の時でも、彼の明るい姿を見ればすぐに元気になれる。
彼の真っ直ぐなところが好きだ。倒れそうになった時でも、踏ん張ろうという気になれる。
彼の一生懸命なところが好きだ。諦めかけた時でも、もうちょっと頑張ってみようという気を起こしてくれる。
彼の笑顔が何より好きだ。思わず私も笑ってしまう。
だから私にとって、彼を思い起こしてくれる黄色いカーディガンは特別なお気に入り。
「よ、名前。名前も休みか?」 「あ、ナルト。そーだよ。ナルトも?」 「久しぶりの休みだってばよ」
偶然。いつもなら修業とかしてるのにね。でも、町の中でナルトに会えるなんてラッキーかも。ほんの少し、頬が火照った。
「名前はその黄色いカーディガン着てるとすぐに目に入るってばよ」 「わかりやすいからいいでしょ」
私も同じくらい、もしくはそれ以上にあなたのことを見つけやすいってことを、知っているんだろうか。
なんで私が黄色を好きなのか、知って欲しいような、知って欲しくないような矛盾が心の中でごちゃごちゃになる。これが恋の醍醐味だと誰かが言ったけど、恋愛真っ最中の女の子にそんなものを味わう余裕はない。
隣を並んで歩けて、お話しできて、同じ風景を見れて。それがとても幸せに思える。ああ、本当に私今恋してるんだなーって感じ。
「そーだ。折角の休みなんだし、一緒に一楽に行かねぇ?」 「ナルトが奢ってくれるならいいよ」 「えー…は、半額ならいいってばよ」 「…あは、冗談冗談!行くなら早く行こうよ」
黄色いカーディガンは私のお気に入りだけど、黄色いあなたはもっと特別なんだって、あなたはきっと知らないんだね。
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