金持ち喧嘩せず(1/3)


チョイス当日。白蘭の指定通り並盛神社に集合したツナ達は、転送装置により決戦の場へと移動した。超高層ビルが立ち並ぶここが決戦場。ここにはチョイスのために用意されたバトルフィールドであり、チョイス参加者以外には人っ子ひとりいない。

白蘭に説明されるままゲームは進んでいく。『チョイス』とはその名の通りプレイヤーが選択をするゲーム。参加人数と勝敗の付け方、商品が決定し、審判者のチェルベッロが紹介された。獄寺が敵の息がかかっているのでは、と疑いをかける。


「この子達は公平だよ。それが取り柄なんだから。それより、ズルをしているのは君たちじゃないかい?」
「え?」
「99.99%の殺気を消しているのは見事としか言いようがありませんが、僅か0.01%。あなた方の基地ユニットから人の気配を感じます」


「チッ」と舌打ちをしてベースを覆い隠した布を捲ってスクアーロが前に出た。その後ろからアルがついて出る。


「やはりイタリアに帰るべきだったのですよ」
「アル!?それにスクアーロ!?」
「なんだ。来てたのかよ」
「イタリアに帰ったら紛れ込んで暴れられねえだろうがぁ!」


素直でない、とアルはコッソリと思った。

非7³線がないのでリボーンも出て来なよ、と白蘭から促され、ホログラムでなく本体が基地ユニットから現れた。


「こうして会うのは初めてだね?アルチャン♪」


それはこの場にいる殆どがそうなのでは、という言葉を呑み込んでアルは「ええ」と返事をした。


「君が味方してくれた別の世界ではもっと早くトゥリニセッテを集められたのになぁ」
「えぇっ!?味方って…!?別世界って!?」
「報酬はたーんまり用意するよ?今からでもミルフィオーレにつかないかい?」


白蘭が言ったアルが味方、との言葉にツナは少なからず動揺したが、そうだ。アルは極度のお金好きということを忘れていた。今からでも敵に回る可能性がある。会話の内容で理解出来ない部分もあるが、今はアルが敵に回る危険性を考えなければいけない。

白蘭はニコニコと笑みを浮かべたままだ。アルは黒いロングスカートのメイド服の上に、ヴァリアーの上着のポケットに手を突っ込み、目を細めた。


「お断りします」
「…へぇ。お金好きな君が断るなんてねぇ…」
「今の私はヴァリアーに所属していますし。それに…」


言葉を区切り、アルはツナのことをチラと見た。ポケットに突っ込んだアルの手はあの小箱に当たっている。


「私が見つけるべきものを、まだ見つけていませんから」


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