▼金持ち喧嘩せず(3/3)
この子を守ろう!と沢田くんはユニさんの腕を掴んで言い放った。
そうなれば白蘭の部下が動くことなどわかっていた。スクアーロ様が真っ先に敵に向かっていく。彼は時間稼ぎをするつもりだ、早く撤退した方がいいと提案するディーノ氏に沢田くんはどうすれば、と狼狽えた。
「白蛇、『脱皮』」
私の言葉に白蛇が3匹に分裂した。雲属性の特徴そのものを表している。
「もう一度一つは『脱皮』。霧に」
私の指示に一匹の蛇の額の炎が紫色から藍色に変わった。もう二匹は体をムクムクと大きくさせて大蛇へと姿を変えた。
「ぼ、匣の属性が変わった!?」 「へぇ。久々に見たよ…アルチャンの『変化する』匣」 「沢田くん、説明している暇はありません。さあ乗って。超炎リング転送システムを使います」
確かに基地の上空に金属反応がある、とスパナさんがPCの画面を見ながら言った。ユニさんを横抱きにしてセルペの背に乗る。怪我人の入江さんがもう一匹の背に乗ったことを確認して「GO」と指示を出した。蛇らしい動きで白蛇は走り始める。
基地まで距離は大きくない。すぐ辿り着いた。非戦闘員を基地の中に避難させ、獄寺くん達を連れたスクアーロ様が追って来た。後は転送システムに炎をぶつけるだけ。それだけなのに。
「びゃ、白蘭!」
スクアーロ様の後ろから今にも、と言った感じに追いかけてくる白蘭。次は誰が足止めするのか、と思った最中、隣に立っていたクロームさんの三叉槍に変化が表れた。
「誰が相手だろうと僕を止めることは出来ないよ」 「クフフフフ…それはどうでしょうねぇ。僕に限って」
「骸様の有幻覚」とクロームさんが呟いた。彼女の頬が紅潮している。有幻覚と言えばグロ・キシニアとの戦いでクロームさんが使った技。でも今は骸くん本人が使っているので、この時代の彼の姿だ。
白蘭を迎え撃った骸くんは火柱の幻覚を生み出す。
「アル。クロームが世話になりましたね」 「お礼を弾んでもらえると嬉しいですね」 「そして、お久しぶりです。沢田綱吉」 「か、髪が伸びてる…10年後の骸?でも、ケガとか大丈夫なの?」 「綱吉クンの言う通りだよ、骸クン」
白蘭には骸くんの幻覚は通用していないようだ。白蘭は余裕の表情。 精神ごと骸くんのことを破壊したはずだ、と彼は言う。けれど白蘭に追い詰められた骸くんは仲間の手を借りて危機を脱したようだ。
その後の骸くんの台詞から、骸くんは脱獄の動きを見せているようだとわかった。一先ずクロームさんの心配の一つは去った、ということか。
骸くんの足止めにより、転送システムを使い並盛へと再び戻った。一旦は敵から逃げ去れた。一旦は、であるが。
敵の元へ転送システムが飛んだみたいなので、即刻対処しなければ、と先を考えるのが嫌になった。
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