世の中金が全て(2/2)


世は不況。そうそういい条件の仕事など、その辺のハローワークなどには転がっていない。
そして聞いて驚くことなかれ。私の年齢はまだ15。つまり未成年。最初から年齢を詐称して仕事をするつもりではあったが、あからさまに危険な香りのするものを選ぶつもりはない。我儘と言うことなかれ。労働者にも権利はある。労働基本法というものがあるくらいなのだ。多少の権利を求めても、お金の神様に怒られることはないだろう。

けれど私は仕事が欲しい。否、お金が欲しい。金、貨幣、マネー、硬貨。とにかく私の脳内をお金のことだけが占める。さながら私は麻薬中毒者が麻薬を求めて彷徨っているようであろう。


今日もハローワークで手に入れたチラシの一枚一枚の隅々にまで目を通し、最も雇用条件がいい職場はどこか、とにかく比べて比べて、これでもかと言う位比べ通す。
労働時間に釣り合わない給料の職場はこちらから願い下げ。いくらこちらの立場が下と言えど、見下されれば腸が煮えくり返りそうだ。所謂ブラック企業と呼ばれる職場のチラシはその場でビリビリに破いて捨てる。こういう気が短いところは、私の前の生業が影響しているのだろう。

ここは駄目。ここも駄目。さらにここも駄目。今回も良い収穫は無いのだろうか。徐々に薄くなっていくチラシの束を見て、溜め息を落としそうになった。
また一枚、チラシを捨てた。そして次のチラシを見て私の足は止まった。


ここだ。私が次に勤める場所はここだ。今決まった。


勤める場所は少々危険が多いかもしれないが、大丈夫。きっとやっていける。私の愛する金が、そこにはある。そこにいけば私はまた大金を手に入れることが出来る。だってここに書かれてある給料。0がひー、ふー、みー……行くしかない。

大量のお金を手に入れることの出来るチャンスを掴み取れて、私は嬉しさのあまり手に力を込めてしまった。くしゃりとチラシが歪んだ。


「ボンゴレ独立暗殺部隊……ヴァリアー」


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