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いやさぁ?確かに風影サマを一目見れたらなぁとか思いましたよ?でもそれはあくまで願望じゃん?ちょっと言ってみただけーとかそういう類のもんじゃん?
「話は火影から聞いてる。にしてもほんとに豪勢な護衛じゃん」
「いやー、まさか砂の三姉弟がそちらさんの護衛とは。ついこの間会ったばかりだってのに」
まさか本当に会えるとか思ってなかったよ。しかもセットで。
いやいやいや!あり得ない!普通ないって風影の護衛とか!どこの大名デスかってんだ!カカシ先生も何普通に挨拶しちゃってんの!?
赤い髪に額に愛の字。それから黒子衣装のお兄ちゃんに大きな扇子を装備しているグラマラスなお姉ちゃん。間違いない、砂の三姉弟デス…!
出会えたことの嬉しさからか、はたまた驚愕からかはさておいて三人を堪らず凝視しているとその中の一人のテマリさんの目があたしをキャッチした。
「初めて見るのもいるな」
「あ、は、初めまして!大城莉愛奈って言います!忍者見習い、みたいな」
「こらこら。そんな依頼人を不安にさせるような自己紹介しちゃダメでしょ。ま、仕事に支障はないんで安心してください」
カカシ先生のうさんくさ、ごほん。笑顔に頷いた今回の依頼人さん二人組。男女ペアの依頼人だ。
「集落までの護衛よろしくお願いします。私は胡蝶様の側近のタテハと申します」
穏やかな笑みを浮かべて手を差し伸べたのはタテハさんという男性。となるともう一人のキツめの印象を持った女の人が胡蝶さんになるってわけか。
砂の忍から木ノ葉の忍に護衛を交代したところで、一旦今日はこの砦で一泊してから集落に向かうことになった。依頼人やあたし達の体力を考えて、のことらしい。
ふむふむ。頑張らないとな、と意気込んだところでサスケから「おい」と呼び止められた。
「さっきのアレは何だ」
「アレって…自己紹介のことデスか?」
「あんなふざけた挨拶があるか。バカかお前は」
「うっ…。だ、だってあたし、額当て持ってませんし…」
だからほら、お世話になったりすでに任務をいくつかこなしてるとは言え、木ノ葉の忍だって言ってもいいものかと悩んじゃって…。
はぁ、とサスケが大袈裟に吐いた溜め息にビクリと反応してしまった。いやだって事実だししょうがないじゃな「ほらよ」
「……え?」
「貸してやる」
貸してやる、って木ノ葉の額当て…?でもそんなことしたらサスケの分の額当てがなくなるんじゃあ…。
「勘違いするな。オレはもう一つ持ってる。里に帰ったら返せよ」
そう言ったサスケの手にはまた別の額当てが。あれ?でも額当てって普通一人に一つ支給されるはずで、二つ持つなんてことないんじゃあ?
「この額当ては誰の…?」
「オレのだ。こっちは…預かり物のようなものだ」
手の中にある額当てを眺める瞳に悲哀の色を見つけて、なんとなくわかってしまった。「(ナルセ、さんのものか…)」だからサスケは額当てを二つ持ってたんだ。
原作とは違って傷の入っていないその額当てに、一体どんな意味があるんだろう。そしてやっぱり、サスケ達にとってのナルセさんがどんな人なのか気になってしまった。
「早く準備しろ、このウスラトンカチ」
「なっ!」
たった今その迷言でシリアスな雰囲気がぶっ壊れましたよ!
期待に応えるべく
(レベルアップ目指して、ファイトー!)
(はしゃぐとバカが目立ちますよ)
(ぬあっ!?サイ!ほんとにぶん殴りますよ!?)
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